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精神障害専門と謳う社労士が信用できないとして医師からご相談いただいたケース(事例№5493)

相談時の状況

注意欠陥・多動性障害(ADHD)と、その二次障害でうつ病を発症しておられる40代女性患者について、医師からご相談いただきました。

サポート契約を取り交わしている社労士に指示されて、ご本人から診断書の作成を依頼されたそうですが、その社労士がどうもおかしいので、一度詳しく話を聞いてあげてほしいとのことでした。

 

社労士による見解

ご本人にお話を伺ってみると、精神障害専門と謳う社労士のサイトを見つけ、相談に行かれたそうです。

ところがろくに話も聞かないまますぐに契約を迫られ、有無を言わさず契約書を書かされた、とのことでした。

さらにその場で精神障害用の診断書用紙を1枚渡され、作成を依頼してくるよう言われたました。

面談の最後に頸椎のヘルニアも患っていることを伝えると、ろくに障害状態も確認しないまま、肢体障害用の診断書も渡され、整形外科へ依頼しに行くよう言われました。

言われるがままに整形外科で作成を依頼し、その後に精神科の主治医にも依頼をされたところ、突然のことで驚かれたそうです。

この方の頸椎ヘルニアの症状は、障害年金を受給できるほど重いわけではなく、障害等級に該当しないことはすぐにわかるはずでした。

整形外科で書かれた診断書を拝見したところ、やはり一目で等級に該当しないことが明らかな内容でした。

このような経緯を主治医に相談されたところ、その社労士はやめた方が良いと言われ、契約を破棄するようアドバイスされたそうです。

すぐにその社労士へ電話され、契約を取りやめたいとお願いされたところ、しぶしぶ同意はしてもらえたそうです。

しかし、この方は障害者雇用で就職しておられ、体調不良から休職しておられたのですが、「その会社を辞めないと障害年金はもらえないよ!」などと、半分脅しのような捨て台詞を吐かれたそうです。

ちなみに、精神障害は特に、就労できているとみなされると、審査上で障害状態を軽くみられる傾向は確かにありますが、これは一般就労の場合で、障害者雇用であればあまり影響ありません。

しかもこの方は「休職中=就労できていない状態」でしたので、審査に影響など出るはずがない状況でした。

 

受任してから申請までに行ったこと

まず、この方の幼少期から現在までの状況について詳しくヒアリングし、文書にまとめたものを医師へお渡ししました。

これによって今までの経緯や日常生活の状況を詳細に把握してもらうことができ、正しい内容の診断書をお書きいただけました。

病歴就労状況等申立書は、出来上がってきた診断書の内容を踏まえてこちらで作成しました。

 

結果

無事、障害厚生年金2級に決まりました。

私も同じ社労士として恥ずかしい限りですが、障害年金専門を謳っていても、経験や知識が不足している社労士はたくさんいます。

そのため社労士へ相談される際は、どの程度の経験があるのかを、必ず確認されたほうが良いと思います。

中でも特に注意が必要なのは、ホームページなどで「精神障害専門」を謳っている社労士です。

一般の方にとっては、「精神障害専門」と言われるとすごく専門性が高い、精神疾患のプロフェッショナルのようなイメージを持たれるかと思います。

しかし実際は、精神障害についての障害年金請求は全体の60%以上を占めており、障害基礎年金(国民年金)だけを見ると、75%以上が精神障害なのです。

つまり、障害年金を専門とする社労士は誰でも、一番対応しているのが精神障害であり、一番得意としているのです。

また障害年金専門社労士の立場から言われていただくと、他の内科系疾患や肢体障害の方が専門知識や経験が必要で、精神障害が最も不足している知識や経験をごまかしやすいのです。

本当に障害年金の経験が豊富なプロは、「精神障害専門」などと謳いません。

もちろん精神障害専門とアピールされている先生の中には、あえて一般の方に信頼してもらうためにそうしておられるケースもあるとは思いますが、まずは本当に経験豊富な方かどうかを確認されたほうが良いと思います。

 

社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

舩田 光朗
舩田 光朗社会保険労務士
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