シェーグレン症候群による平衡機能障害として障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5960)
相談時の状況
指定難病のシェーグレン症候群を患っておられる、40代の女性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は、約5年前からやたらとふらつくようになったため近くの整形外科を受診されたのですが、検査を受けても異常は見つかりませんでした。
大きな総合病院の整形外科を受診してもわからず、別の可能性を考えて脳神経内科を受診したところ、シェーグレン症候群と診断されました。
シェーグレン症候群について障害年金の手続きをする場合は、代表的な症状である口腔内などの乾燥や倦怠感・易疲労などの症状を訴えて、「その他の障害」用の診断書を使うことが多いです。
しかしこの方はそういった症状よりも両下肢の痙性対麻痺がひどく、両足に装具を装着し、さらに杖も使用しなければ歩行が困難な状態でしたので、「肢体の障害」もしくは「平衡機能の障害」として進めることにしました。
「肢体の障害」の下肢障害として主張する場合は、各関節の可動域や筋力が重要視されます。
そのため筋力や可動域に問題がなければ、日常生活の困難さをどれだけ訴えても認められない可能性が高くなります。
「平衡機能の障害」なら、四肢体幹に器質的異常がない場合で、閉眼での起立・立位保持や開眼での直線歩行が困難と認められる必要があります。
受任してから申請までに行ったこと
診断書を医師に依頼してもらう際は、正しい書き方や日常生活動作の程度などを正しく理解してもらうための参考資料を作成し、受診時にお渡しいただきました。
完成した診断書を拝見すると、日常生活動作の項目は歩行が困難であると主張する内容になっていましたが、やはり筋力はほとんど正常値でしたので、下肢障害として審査上扱われると、不支給とされてしまう可能性がありました。
しかし平衡機能を表す項目は、起立・立位保持や直線歩行が困難であると主張する内容になっていましたので、平衡機能の障害として主張することにしました。
病歴就労状況等申立書を作成する際は、下肢障害として扱われないよう、平衡機能の障害として審査を進めてほしい旨を明記しておきました。
結果
無事、障害厚生年金2級に決まりました。
診断書の様式は8種類あり、この病気はこの様式を使用しなければならないというような決まりが、必ずしもあるわけではありません。
病名で決めるのではなく、どこにどのような症状がでているのかで判断しなければなりません。いくら重い障害があるかたでも、適切な様式を選ばなければ、正しく審査してもらうことができません。
年金事務所の相談窓口や主治医の判断が正しいとは限りませんので、まずは専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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