胸髄悪性腫瘍で障害年金申請しようとしたが医事課で初診証明を拒否されていたケース(事例№1576)
相談時の状況
胸髄悪性腫瘍を患って胸髄を損傷し、両足と体幹が不自由になられた40代女性の、お父様からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は十数年前に強い痛みを背中に感じ、近くの病院を受診して検査を受けたところ、脊柱管内に腫瘍が見つかりました。
直ぐに公立の大きな総合病院を紹介され受診したところ、手術が必要と言われました。
その公立病院で入院を勧められたのですが、有名な医師のいる他院をご本人が希望し、そちらへ移って手術を受けたそうです。
その後は再発を繰り返し、現在も抗がん剤治療を続けておられました。
体幹が完全に麻痺しており、両下肢が動かせない状態で車椅子を使用されていましたので、障害状態は間違いなく1級相当でした。
受任してから申請までに行ったこと
一番最初に受診した近くの病院は、既にカルテを破棄されていました。
本来は初診日をカルテに基づいて証明する必要があるのですが、カルテに代わる有効な証拠があれば、初診日証明として認められます。
この方は最初の病院で紹介状を書いてもらい、それを次に受診した公立病院へ渡しておられましたので、その紹介状が残っていれば高い確率で初診日を証明できるはずでした。
お父様から公立病院へご確認いただいたところ、カルテは残っているとの回答がありました。
カルテが残っているということは、一緒に紹介状も残されているはずでしたので、直ぐにこちらで受診状況等証明書(初診証明)の作成依頼文を作り、お父様から依頼していただきました。
ところがその数週間後に、公立病院から初診証明は作成できないとの返答があったとの連絡が入りました。
直接公立病院の文書作成受付担当者へ電話し、なぜ作成できないのか理由を尋ねるのですが、明確な答えは返ってきません。
一旦カルテは残されている旨の確認ができている以上、作成できるはずです。
しつこく問いただしていると、上司に相談すると言い出しました。
電話を保留にするのかと思いきや、受話器を口から話しただけでそのまま上司へ担当者が相談し始めました。
—————————————————————————————–
担当者:「社労士がしつこく初診証明の作成を迫ってきて困ってます」
上司?:「なんで書けへんの?」
担当者:「○○先生に依頼したんですが、『なんで他の病院に移った患者の診断書を書かなアカンねん!』って怒られたんです」
上司?:「……そしたら、カルテはやっぱり破棄されてたことにしたら?」
—————————————————————————————–
こんな会話がまる聞こえです。
それ以上我慢して聞く必要もなかったので、「聞こえてますよ!」と大声を出すと、ようやく担当者が観念しました。
要するに、立場の強い医師に対して、立場の弱い医事課職員が意見できず困っていたのです。
診断書の作成を、正当な理由なく断ることは医師法で固く禁じられていることを医師に伝えてもらうようお願いしました。
また本ケースは、最初の病院で作成された紹介状のコピーだけでも貰えれば初診を証明できるはずでしたので、どうしても医師が拒否するようなら、それだけでも交付してくれるよう交渉しました。
すると後日、医師の作成した初診証明がちゃんと届きました。
結果
その後現在の主治医にも診断書も書いてもらい、障害厚生年金1級に決まりました。
どこの病院かは伏せますが、前述の公立病院とのやりとりは本当の話しです。(京都ではありません)
ここまで酷い事例は珍しいですが、事務職員は医師に対して強く意見することができず、医師の言いなりになってしまうという状況は、病院にもよりますが少なからずあると思います。
またカルテは破棄されていないのに、一般の方が問い合わせると、「法律に基づいて5年で破棄します」と答えてしまう担当者も実在します。
京都でも、とある公的な大病院の特定の文書作成担当者は、初診証明を依頼すると、「5年以上経過しているので、もうカルテは無いと思いますが、それでも依頼しますか?」と必ず答えます。
こんなことを言われたら、当たり前ですが一般の方は真に受けて、その時点で障害年金を諦めてしまうでしょう。
経験豊富な専門家なら、どの病院がどの程度の期間カルテを保管しているのか大体把握しているはずです。
まずは、専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
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