パーキンソン病で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6563)
相談時の状況
パーキンソン病を患っておられる40代の男性からご相談いただきました。
ハローワークの専門相談員から障害年金手続きを進められ、まずは当法人へ相談してみるようアドバイスされたそうです。
社労士による見解
この方は、30歳になった頃から歩きにくさを自覚するようになったそうです。
足が重いと感じたため、近くの整形外科を受診したところ、神経系専門の大きな病院を紹介されました。
1か月ほど検査入院しましたがそれでも原因はわからず、退院後にしばらく通院しても何もわからないままだったため自己中断されました。
しかし症状が改善したわけではなく、むしろ悪化していったため、数か月後に別の総合病院を受診したところ、そこで初めてパーキンソン病と診断されました。
5年前から大学病院へ転医し、投薬治療を続けていましたが、薬の効く時間がどんどん短くなっており、現在は1日5回も服用していました。
医師からは仕事を辞めるよう言われましたが、家族を養う必要があるため、ハローワークからの紹介で在宅勤務の障害者雇用の仕事に転職していました。
薬効のないときはジスキネジアの症状が強く出て手足をまともに使えなくなるため、薬を頻繁に飲む必要がありました。
しかしその副作用で精神が不安定になり、うつ症状や希死念慮も出現して、自殺未遂が数回ありました。
障害状態は間違いなく2級以上だと感じましたが、パーキンソン病で申請すると、かなり高い確率で審査本部から、症状が薬で抑えられている比較的元気な状態について細かく追及してきます。
薬が効いている状態では動きに制限などがあまりないと判断されると、障害状態を軽く見られ、本来の等級よりも低い等級で決定したり、不支給とされてしまうことがあるため注意が必要でした。
受任してから申請までに行ったこと
まず、最初に受診したと聞いた近くの整形外科へ受診状況等証明書(初診証明)を書いてもらったところ、その整形外科よりも前に別の脳神経内科クリニックを受診されていることがわかりました。
実は今回のように、本人は忘れており、初診証明を取ってみて発覚することは意外と多いです。
また、取得するたびにどんどん遡っていき、最終的にカルテが破棄されていて請求自体を諦めざるをえない事態になることもありますので注意が必要です。
幸いその脳神経内科クリニックでもカルテは残されていましたので、問題なく初診証明を書いてもらえました。
診断書を医師に依頼していただく際は、パーキンソン病で作成する際の注意点や障害認定基準などを理解してもらうための参考資料を作成し、受診時にお渡しいただきました。
病歴就労状況等申立書もこちらで作成し、年金事務所の窓口を通じて申請したのですが、やはり年金機構の障害年金センターから、「薬効の有無」「薬効があるときのADL」などについての医師照会指示がありました。
「薬効がある時」の状態としてお書きいただいた日常生活能力は、やはり「薬効が無い時」と比べてかなり軽くなっており、かなり不安を感じる内容でした。
結果
改めて医師が書かれた薬効有りのADLが軽かったので心配していましたが、何とか障害厚生年金2級に認めていただくことができました。
病歴就労状況等申立書で、薬の副作用によりうつ症状や希死念慮もでており、これ以上投薬量を増やすことができないとアピールしておいたことが良かったのかもしれません。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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