がんによる末梢神経障害で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№7172)
相談時の状況
肺がんを患っておられる50代の男性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は3年前に息苦しさを自覚され、近くの総合病院を受診したところ、肺がんと発覚しました。
すぐに入院となり、化学療法を受けたところ、がん細胞は順調に減っていきました。
しかしがん治療の副作用のためか末梢神経障害が出現し、筋力は保たれているものの四肢のしびれや感覚麻痺のため、手を使った作業や歩行が困難な状態となりました。
両腕は、動かすことはできるものの感覚がないため、物をつかんだり、スプーンを使用したり、着替えを行ったりすることが非常に困難になりました。
両足も動かせはするものの、感覚が無いため歩行することができなくなり、移動は車いすとなっていました。
障害年金の等級審査は、「どこに・どのような症状が・どの程度でているか」ということを基準に判断されます。
全て病名ごとに細かく定められているわけではなく、症状によって8つの分類にわけられており、どの分類に当てはめて主張するかを慎重に検討しなければなりません。
「がん」について審査を受ける場合、化学療法の副作用による倦怠感や易疲労が主症状であれば、「その他の障害用」の診断書を使用します。
しかしこの方は、四肢のしびれや感覚麻痺による肢体障害が顕著でしたので、がんであっても「その他の障害用」ではなく、「肢体障害用」の診断書を使用するのが適切だと判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
肢体障害の障害認定基準は、障害の範囲が上肢のみ又は下肢のみの場合と、上肢・下肢の両方の場合とで異なります。
上肢のみ・下肢のみの場合は、各関節の可動域や筋力が重視されるため、筋力低下が無く、麻痺によって動かせないわけではないこの方の場合は、等級に全く該当しませんでした。
しかし、障害範囲が上肢・下肢と広範囲に及ぶ場合は、「肢体の機能の障害」の認定基準が適用され、筋力や可動域ではなく、「日常生活における動作の障害の程度」で審査されます。
この「日常生活における…」に関する診断書の記載項目は「〇・〇△・△×・×」の4つのうちから医師が選択して丸を付けるようになっており、四肢全部の障害が及んでいる場合は、ほぼすべての項目が「〇△」以上であれば、障害等級2級に認められます。
この方は、四肢全体に感覚麻痺があるため、あらゆる動作がやや不自由な状態でしたので、全てが「〇△」でした。
診断書を依頼していただく際は、肢体の機能の障害の認定基準についての説明や、日常生活の様子などについて参考資料にまとめ、受診時に医師へお渡しいただいたところ、問題のない内容でお書きいただけました。
結果
無事、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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