ステロイドミオパチーで障害基礎年金2級に認められたケース
相談時の状況
ご本人よりお電話でご相談いただき、外出困難な方でしたので後日ご自宅へ伺いました。
社労士による見解
数年前に咳が止まらなくなり、数日経っても症状が治まらなかったため呼吸器内科を受診したところ、慢性気管支喘息と診断されました。何度か入退院を繰り返し、初診から約2年経過した時点からは24時間の在宅酸素療法を導入されました。
またこの頃から四肢の筋力低下が顕著となり、ステロイド大量投与が原因の、ステロイドミオパチーであると診断されました。
この方は生まれつきの変形股関節症や、気管支喘息の1年前に発症した梨状筋症候群など、複数の障害をお持ちでした。
当初は年金事務所の窓口へ行き、ご自身で手続きを進めておられたのですが、初診日の判断が非常にややこしく、窓口担当者もよくわかっていなかったようで、次々にいろんな病院で初診日証明(受診状況等証明書)を取得してくるよう指示されたそうです。
この方は肢体障害と呼吸器疾患から一人での外出が難しく、ヘルパー同行でなければどこにも行けない状態だったので、何度も窓口に行くだけでも大変な負担でした。しかも窓口担当者もよくわかっておらず、手探りで進めていこうとするため、いつまでたっても申請に行きつかない状況に嫌気がさし、自分で進めることを断念されたそうです。初めて窓口に相談に行かれてから、既に半年が経過していました。
受任してから申請までに行ったこと
24時間の在宅酸素療法を継続している場合は、障害等級3級に該当します。しかしこの方は2級からしか支給されない基礎年金(国民年金)の対象でしたので、気管支喘息は申請しても不支給とされてしまうことは明らかでした。
肢体障害についてはステロイドミオパチーによる四肢の筋力低下が深刻で、こちらだけで障害等級2級に該当する可能性が高いと考えました。
しかし主治医に診断書の作成について相談してもらったところ、非常に嫌そうな顔をされ、「どうせ通らないから書きたくない」と言われたそうです。
四肢の筋力低下を訴えて申請する場合は、肢体障害用の診断書を医師に書いてもらう必要があります。しかし筋力の低下については明確な基準があるわけではなく、「正常・やや減・半減・著減・消失」の選択肢から医師が『主観』で選択記入するようになっているため、同じ障害状態の人でも書く医師によって内容は大きく異なってきます。
「通らない」と断言する医師に、無理やり『主観』で書いてもらっても、審査に通らない内容とされてしまうことは明らかでした。
そこで、正当な判断により実態に則した診断書をお書きいただける医療機関をお教えし、そちらへ転医してもらいました。その病院では相談者の深刻な障害状態をご理解いただくことができ、実態に則した診断書をお書きいただけました。
結果
無事障害基礎年金2級に認められました。
残念ながら、年金事務所の窓口担当者で障害年金に精通しておられる方は稀です。ややこしい内容のものほど、明確な指示はしてもらえません。
診断書を書いてもらう医師にも、いろんな人がいます。診断書の作成は義務ですが、内容はそれぞれの医師の判断で書かれるため、基準が曖昧な障害ほど書く人によって内容に差が出てきます。
障害年金制度は、非常に複雑です。正しい知識や経験に基づいて的確に判断していかなければ、貰えるはずのものも貰えなくなってしまいますのでご注意ください。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
-
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
「相談して良かった」「やるべきことが明確になった」と、相談後には気持ちが前向きに、軽くなれる様、耳を傾け、アドバイスすることを心掛けております。まずはお気軽に相談ください。
- 6月 4, 2020精神の障害不支給からの再チャレンジでカルテの提出を求められたケース(事例№5083)
- 6月 2, 2020肢体の障害進行性核上性麻痺で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5216)
- 5月 26, 2020内臓系の障害初診が20年前の慢性呼吸不全で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№345)
- 5月 18, 2020精神の障害幼少期の脳腫瘍が原因で高次脳機能障害となったケース(事例№5120)
関連記事
クイックタグから関連記事を探す
「その他肢体障害」の記事一覧
- 多系統萎縮症で障害認定日まで遡って障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6754)
- 心臓疾患で子供の頃から通院していたが障害厚生年金1級に認められたケース(事例№6695)
- パーキンソン病で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6563)
- 障害認定日より遅い時期の診断書で遡及請求が認められたケース(事例№6602)
- 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーで障害厚生年金1級に就労しながら認められたケース(事例№6594)
- 多系統萎縮症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6487)
- 歯科での麻酔薬大量投与が原因の全身麻痺で障害厚生年金1級に認められたケース(事例№6571)
- 65歳を超えてから多系統萎縮症で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6488)
- 脊髄ヘルニアで障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6391)
- 頸椎損傷による肢体障害で障害厚生年金2級に永久固定で認められたケース(事例№6028)
- 事故による腕神経叢損傷で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6363)
- 働きながらでも脊髄小脳変性症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6403)
- 変形性膝関節症で障害厚生年金3級に障害認定日まで遡って認められたケース(事例№6357)
- 30年近く受診がなかった軟骨異形成症と脊柱側弯症で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6221)
- 子供の頃からの変形性股関節症で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№6076)
- 審査で無関係の障害による影響を疑われたが脊髄小脳変性症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6035)
- 二分脊椎症で障害基礎年金1級に永久固定で認められたケース(事例№6082)
- シェーグレン症候群による平衡機能障害として障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5960)
- 発症から2年弱の重症筋無力症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6031)
- マルファン症候群による肢体障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6051)
- 脳性麻痺で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5886)
- ミルロイ病によるリンパ浮腫で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5884)
- ギランバレー症候群による肢体障害でで障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5969)
- 糖尿病がなければ下肢切断までいたらなかったはずだが糖尿病は関係ないと判断されて障害年金を受給できたケース(事例№5929)
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5843)
- 筋強直性ジストロフィーで障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5725)
- 原因不明の下肢障害で障害厚生年金1級に認められたケース(事例№5890)
- 障害認定日時点の診断書無しで遡及請求が認められたケース(事例№5747)
- 50歳を超えてから脳性麻痺で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5726)
- 幼少期に先天性股関節脱臼で手術を受けていたが社会的治癒が認められ5年分の遡及もできたケース(事例№5479)
- パーキンソン病で障害厚生年金1級に認められたケース(事例№5451)
- 自分で手続きを進めていたがうまくいかず諦めかけていたケース(事例№5392)
- 脊髄小脳変性症による平衡機能障害で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№5304)
- 交通事故による両下肢障害について3級とされたが審査請求で2級に変更させたケース(事例№5218)
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎で当初3級とされたが再審査請求で2級に処分変更させたケース(事例№5144)
- 脊髄梗塞による下肢障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5364)
- 糖尿病性壊死による下肢切断で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5323)
- パーキンソン症候群なのにパーキンソン病と診断書に書かれたが障害厚生年金1級に認められたケース(事例№731)
- 脊髄小脳変性症を肢体の機能障害として申請し障害厚生年金1級に認められたケース(事例№5104)
- 大腿骨骨頭壊死で障害厚生年金3級:過去のステロイド治療は関係ないと判断されたケース(事例№5205)
- 急性散在性脳脊髄炎で障害厚生年金3級に決まり2年分の遡及も認められたケース(事例№5279)
- パーキンソン病で障害厚生年金3級とされたが審査請求で2級に変更させたケース(事例№5060)
- 脳性麻痺で不支給とされていたがやり直して2級に認められたケース(事例№5260)
- 原因不明の下肢障害で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5172)
- 多発性硬化症で障害基礎年金2級:ギランバレー症候群とされていた時期が初診日と認められたケース(事例№5168)
- 脊髄空洞症で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№5240)
- 過去にステロイド治療を受けていたがその数年後が大腿骨骨頭壊死の初診日と認められたケース(事例№5178)
- 進行性核上性麻痺で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5216)
- パーキンソン病で一度不支給になっていたが再度の申請で認められたケース(事例№5122)
- レビー小体型認知症のパーキンソン症状を審査対象外とされたケース(事例№5088)
- 脊椎腫瘍による肢体障害で65歳直前に申請したケース(事例№5014)
- 強い衝動制御障害のあるパーキンソン病で1級に認められたケース(事例№5127)
- 重症筋無力症で症状が悪化しているのに支給停止されたケース(事例№194)
- 痛みを主張しすぎて不支給になったケース(事例№5148)
- 脊髄小脳変性症で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№472)
- 封入体筋炎で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5022)
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№429)
- ポストポリオの明確な診断はなかったが障害厚生年金2級に認められたケース(事例№1055)
- 二分脊椎症で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№464)
- 複数の障害混在のため却下されたが審査請求で覆したケース(事例№997)
- 交通事故による右足の負傷で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№237)
- 過去のステロイド治療が原因の大腿骨骨頭壊死で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№1525)
- 神経線維腫症2型による肢体障害で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№1578)
- 生まれつきの硬膜動静脈奇形で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№69)
- 強直性筋ジストロフィーで障害基礎年金1級に認められたケース(事例№448)
- 胸髄悪性腫瘍で障害年金申請しようとしたが医事課で初診証明を拒否されていたケース(事例№1576)
- 球脊髄性筋萎縮症で障害基礎年金2級に認められたケース
- 発症して2年のパーキンソン症候群で障害厚生年金2級に認められたケース
- 神経線維腫症Ⅰ型と軽度知的障害で障害基礎年金1級に認められたケース
- カルテは破棄されていたが肢帯型筋ジストロフィーで障害基礎年金2級に認められたケース
- 亜急性連合性脊髄変性症で障害厚生年金2級に認められたケース
- ミトコンドリア脳筋症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 多発性硬化症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 両特発性大腿骨骨頭壊死症で障害厚生年金3級に認められたケース
- 四肢麻痺について障害年金の相談を低料金が売りの社労士にしたが何もしてくれなかったケース
- 脳炎治療のステロイド剤が原因の大腿骨骨頭壊死で障害厚生年金3級に認められたケース
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)で障害基礎年金2級に認められたケース
- 年金事務所で無理だと言われたが交通事故の後遺症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 胸椎髄膜嚢腫による下肢障害で障害厚生年金3級に認められたケース
- パーキンソン症候群で障害厚生年金3級に認められたケース
- 変形性肩関節症で障害厚生年3級に認められ遡及も行われたケース
- 筋強直性ジストロフィーで障害基礎年金2級に認められたケース
- 多発性硬化症で障害基礎年金2級に認められたケース
- 脳性麻痺で障害基礎年金2級に認められたケース
- 筋力低下が進行していない状態の重症筋無力症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 多発性硬化症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 多系統萎縮症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 後縦靭帯骨化症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 空欄だらけの診断書でもパーキンソン病で障害基礎年金2級に認められたケース
- 交通事故による右下肢切断で障害基礎年金2級に認められたケース
- 30年以上前の下肢切断で障害基礎年金2級となり遡りも認められたケース
- あまり筋力が低下していない時点の重症筋無力症で障害厚生年金3級に認められたケース
- 多発性硬化症で障害厚生年金1級に認められたケース
- 頚椎症性頚髄症による四肢麻痺で障害厚生年金2級に認められたケース
- 脳性麻痺による肢体障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 下肢短縮が原因で反対側が変形性股関節症となった事例
- 表皮水泡症で障害基礎年金1級に認められ5年遡及も行われた事例
- 頚椎損傷による肢体麻痺で障害基礎年金1級を受給できたケース
- 頚椎損傷による四肢麻痺で障害厚生年金1級が認められたケース
- 軟骨無形成症で障害基礎年金2級に認められたケース