うつ病ではなくびまん性白質脳症とわかり障害厚生年金2級に等級変更できたケース(事例№5052)
相談時の状況
うつ病として数年前から障害厚生年金3級を受給されている男性の、奥様からご相談いただきました。
感情のコントロールができず、家庭内で暴れるようになったため、数か月前から精神病院へ入院されていました。
約半年前に他院の脳神経内科で、神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症と診断されたそうです。
社労士による見解
この方は約5年前より、不眠や抑うつの症状が出るようになったそうです。
仕事でケアレスミスをすることも多くなり、上司に指示されて精神科を受診したところ、うつ病と診断されました。
その会社は数か月後に退職し、生活のためにアルバイトを始めました。
しかし単純作業も覚えられないことが発覚したため、通院先で検査を受けたところ、IQの数値が軽度知的障害に近い状態であることが判明しました。
初診日から1年6か月が経過してすぐに、妻が障害年金の手続きを行ったところ、障害厚生年金3級に認められました。
約半年前に頭痛を訴えたため、総合病院の脳神経内科を紹介受診したところ、神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症と診断されました。
しかしこの傷病は治せるものではないため、神経内科では診断を受けただけで通院はしませんでした。
その後も障害厚生年金3級を受給しながら、障害者雇用で就労していましたが、徐々に感情を抑えられないことが多くなっていき、警察沙汰になるほど自宅で暴れるようになったため、通院先の精神病院での入院を余儀なくされました。
自宅に一人で置いておくことができず、いつ退院できるかわからない状態でしたので、奥様は2級の障害年金への等級変更を求めるため、精神科の主治医に診断書の作成を依頼されましたが、白質脳症は専門ではないので書けないと断られたそうです。
受任してから申請までに行ったこと
約5年前から出ていたうつ症状はうつ病によるものではなく、白質脳症によるものと認めてもらえるかどうかがポイントと考えました。
白質脳症が新たに発症したものと判断されると、1年6か月経過しなければ申請できなくなる恐れがあったためです。
まずはこの方の担当の相談員さんにお願いし、3級に認められた際の診断書コピーを頂戴したところ、IQが境界レベルであることが判明したこのについて、医師は生来のものと判断されているようでした。
しかしこの方は、長年会社員として営業などもこなしておられましたし、奥様に聞いても、以前は知能に問題があるような言動はなかったとおっしゃられましたので、これも白質脳症によるものであると考えられました。
その旨を奥様から精神科の主治医に確認してもらったところ、確かにその可能性があると認めていただけましたが、残念ながら診断書の作成については、やはり断られてしまいました。
そこで、白質脳症の診断をしていただいた脳神経内科の医師へ、その病院の相談員さんを通じて相談してもらいましたが、「自分は診断をしただけで、その後診療をしているわけではない」とそこでも断られました。
入院先から脳神経内科へしばらく通院してもらったうえで再度ご検討いただくことの考えましたが、脳神経内科の相談員さんから聞かされた医師の反応から、それでも可能性は非常に低いと判断し諦めました。
やはり長年お世話になっており、日常生活の困難さもよくご理解いただいている精神科の主治医にお書きいただくべきだと考え、再度お願いをしてみることにしました。
すでに2度断られていましたが、「白質脳症について詳しくお書きいただく必要はない」「日常生活の困難さについてありのままを書いてもらえればよい」ということを説明する文書を作成し、相談員さんから医師へお渡しいただいたところ、何とかご対応いただけました。
結果
無事、障害厚生年金3級から、2級へ変更されました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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