初診のカルテは破棄されていたがうつ病で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5141)
相談時の状況
十数年前から、うつ病を患っておられる30代女性よりご相談いただきました。
主治医に障害年金の相談をされたところ、当センターへ行ってみるよう勧められたそうです。
社労士による見解
この方は当時、とある鉄道会社勤めておられました。
入社数年後に、ニュースでも連日大々的に取り上げられるような列車事故が発生し、その事故で大事なご友人もなくしてしまわれました。
それだけでも大きな精神的ショックを受けておられたのですが、事故後の車掌勤務時に、乗客から度々、「人殺し!」などと罵声を浴びせられたそうです。
また言葉だけでなく、酔っぱらった男性乗客から殴る蹴るの暴力を受けたこともあり、ショックから出社できなくなりました。
産業医から系列病院の精神科を勧められ、受診したところPTSDと診断されました。
医師の勧めで休職し、自宅療養していましたが一向に症状は改善せず、その後退職されました。
1年前に実家へ戻り近くの精神病院へ通院されていましたが、希死念慮が強く、自殺未遂を何度かされていました。
受任してから申請までに行ったこと
面談中に、ご本人の目の前で最初の病院へ電話してみたところ、初診は十数年前でしたので、カルテは既に破棄されていました。
しかし詳しく確認してみると、システム上の記録に「受診日」「受診科(精神科)」だけは残されていることがわかりました。
障害年金の初診日は、原則はカルテに基づいて証明することとされています。
しかしカルテの保管義務は最低5年と法律で定められていますので、時間が経てば経つほど破棄されている可能性が高くなります。
カルテが無い場合は、それに代わる客観的証拠に基づいて初診日を証明しなければなりません。
申請する傷病について初めて受診したことを証明しなければなりませんので、例えば総合病院や内科の受診日の記録だけを証明できたとしても、何の病気で受診したかわかりませんので、初診日として認められることはありません。
しかし精神疾患の場合は少し特殊で、医療機関ごとに様々な診断名がついていたとしても、一連のものと判断してもらえる可能性が高いため、精神科を初めて受診した日だけでも証明できれば、精神障害の初診日として認めてもらえることがよくあります。
精神科の初診日と終診日だけを受診状況等証明書に記載してもらい、初診証明として提出しました。
結果
無事初診日が認められ、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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