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支給対象外のPTSDと診断されていたが障害基礎年金2級に認められたケース(事例№522)

相談時の状況

PTSD(外傷後ストレス障害)で苦しんでおられる50代女性について、家族の方からご相談いただきました。

ご家族が年金事務所に通いながら申請を進めておられたのですが、調べてみるとPTSDは障害年金の対象外にされてしまうことがわかり、どうすればよいのかわからなくなっておられました。

 

社労士による見解

詳しくお話を伺うと、この方は母親から厳しいしつけを受けて育ってきたため、小さい頃強いストレスを感じておられました。
20代半ばで結婚されたのですが、ご主人はギャンブル依存症で、すぐにひどいDVを受けるようになったそうです。
20年以上も暴力に耐えてこられたのですが、夫が借金で自己破産したことをきっかけに、離婚して数年前に実家へ戻られました。

実家の家族が精神的な異常に気付き、精神科へ通院するようになったそうです。

他人を異常に怖がり、家族以外とのコミュニケーションは殆ど取れませんでした。
また子供の頃から怒られ続けた影響か、自己評価が非常に低く、何事においても「自分が悪い」と思い込んでしまう傾向があったそうです。

抑うつ症状が強く、希死念慮もありましたので、障害年金を受給できる可能性があると判断しました。

 

受任してから申請までに行ったこと

障害年金は殆どの病気が対象になりますが、精神の障害は例外的に、障害年金の対象外とされてしまう病名がいくつも存在します。

障害認定基準には、原則として「人格障害」と「神経症」は認定の対象としない旨が明記されているため、「神経症」に分類されるPTSDでは、確かに障害年金を受給できない可能性が非常に高いです。

しかし傷病名として、うつ病や双極性感情障害などの「精神病」も併記される場合は対象となりますし、診断書の内容から「精神病の病態を示している」と判断された場合は、支給されることがあります。

この方はうつ病の症状が強いと感じましたし、抗うつ剤も処方されていましたので、受診時に医師へご本人から確認してもらったところ、「うつ病の診断もしている」と言われました。

そこで、障害認定基準についてご理解いただくための資料を作成し、受診時に医師へお渡しいただいたところ、PTSDとうつ病を傷病名に併記した診断書をご作成いただくことができました。

 

結果

無事、障害基礎年金2級に決まりました。

パニック障害や不安障害などの、神経症だけを診断書の傷病名欄に書かれてしまい、不支給決定を受けた方からのご相談を頂戴することがよくあります。

以前、医師からもご相談いただいたことがありました。
その時は、重い解離性障害で長期間入院されていた患者さんについてだったのですが、解離性障害にだけ焦点を当てた診断書を作成されてしまい、不支給決定とされてしまったそうです。

実際には双極性感情障害の診断名も付けておられ、そちらの症状も十分重かったのですが、その先生は解離症状の治療に意識が向いておられたため、解離性障害に関する記載ばかりになってしまったそうです。

そのときも先生に説明したところ、ご理解いただけました。

実際の診断名と違う病名を無理やり記載してもらうようなことは、絶対にゆるされません。

しかし、単なる認識不足が原因であれば、正しい認識を持って診断書を作成してもらい、実態の障害状態を審査してもらえるようにする必要がありますので、まずは経験豊富な専門家へご相談ください。

社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

舩田 光朗
舩田 光朗社会保険労務士
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