アルコール依存症もあるうつ病で障害基礎年金2級に認められ遡及も行われたケース
相談時の状況
ご本人の奥様からお電話いただき、後日無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
アルコール依存症は、障害年金の対象になる場合と、ならない場合があります。
うつ症状などが先にあり、その後でアルコールに依存するようになってしまった場合は、障害年金の対象となる可能性が高いです。しかしアルコール依存が先にある場合は、残念ながら認められない可能性が極めて高いです。
奥様から詳しくお話を伺うと、ご主人は仕事のストレスから憂鬱気分や倦怠感などの症状が出るようになったそうです。内科や脳神経外科などを受診されましたが原因はわからず、次第にアルコールへ依存するようになったそうです。
直ぐにアルコール依存は深刻な状態となり、アルコールが原因のてんかん発作を起こして入院されました。しかし禁断症状や離脱症状が激しかったためその病院では対応ができず、アルコール依存や薬物依存専門の精神科を紹介されました。
その後は何度も入退院を繰り返し、現在ではうつ症状に加えて脳の委縮による記憶障害なども出てきておりましたので、社会復帰は非常に困難な状態でした。
うつ症状の後にアルコール依存がありましたし、現在の病状から考えて、障害年金が支給される可能性は高いと判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
当初から通院しておられる精神科は、障害年金の対象になりにくいアルコール依存と薬物依存の専門でしたので、先生は障害年金の診断書を書いたことが無いようでした。一度奥様から先生に相談してもらったのですが、書き方がわからないと言われてしまいました。
そこで、ご相談いただいた時点ではちょうど、重症の認知症の方などが多くいらっしゃる病院に入院しておられましたので、そちらの医師に作成をお願いすることにしました。しかしその医師はアルコール依存症患者がお嫌いなようで、普段からあまり話を聞いてくれないようでした。依頼していただいた際もかなり嫌な顔をされたそうです。出来上がってきた診断書を見ると、「初飲は18歳。22歳から習慣飲酒」などと明記されており、障害状態についてもほぼ健康体であるかのように、明らかに悪意を持って書かれていました。
そのような事実無根の内容が書かれた診断書で申請するわけにはいきませんので、当初から通院している精神科の医師に改めて相談し、正しい書き方などをご説明したところ、遡りの時点のものも含めて正しい内容の診断書をお書きいただくことができました。
結果
無事障害基礎年金2級に認められ、5年分の遡りも認められました。
非常に残念なことですが、気に入らない患者や癇に障る頼み方をしてきた患者の診断書を、わざと通らない内容で作成する医師は、非常に稀ですが存在します。肢体障害や内科系の疾患であれば、客観的に障害状態を判断できる検査数値なども記載されるのですが、精神疾患は殆どが医師の主観で書かれてしまう項目ですので、こういったことが起こりえます。
稀にいらっしゃるこういった医師に、事実とかけ離れた内容の診断書を書かれてしまっても、内容が正しいかどうかを判断することは、一般の方にとって困難です。まず初めに、専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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