社会的治癒が認められ20歳前からのうつ病で障害厚生年金2級に決まったケース(事例№6831)
相談時の状況
うつ病の診断を受けている、20代の女性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は小学校高学年頃から、クラスで嫌がらせを受けるようになったそうです。
嫌がらせは中学に上がっても続き、卒業までほとんど保健室登校をされていました。
高校も入学はしたもののほとんど登校することができず、1年も経たずに通信制高校へかわりました。
通信制にかわったタイミングで精神科へ通うようになりましたが、人間関係のストレスが軽減されたためか、半年ほどで寛解に至り、通院治療を終了しました。
高校卒業後に進んだ専門学校では問題なく過ごすことができ、卒業後も普通に就職できました。
就職してしばらくは問題なかったのですが、仕事の忙しさからか次第にストレスが蓄積していき、2年目の夏頃から不眠、抑うつ、希死念慮などの症状が出現するようになりました。
近くの精神科クリニックを受診したところうつ病と診断され、すぐに休職するよう医師から言われました。
半年ほどで復職しましたが、すぐに症状がぶり返したため結局退職されました。
受任してから申請までに行ったこと
原則通りですと、高校1年生のときの受診が初診となり、20歳前障害として障害基礎年金(国民年金)の対象ということになります。
しかしこの方は半年ほどで通院を終了し、就職2年目に別の精神科を受診するまで、約5年間の期間が開いていました。
障害年金や健康保険などの社会保険制度には、「社会的治癒」という考え方があります。
社会的治癒とは、傷病が一旦治癒して投薬治療などが必要ない状態で、数年に渡って社会生活を営めていた場合に、再発した時点を初診日と取り扱ってもらえる法理です。
これは条文などで明確に規定されているわけではなく、割と曖昧なものですので、希望通りに必ず認められるわけではありませんが、この方の状況なら可能性があると考え、厚生年金に加入していた再発時点を初診日として主張することにしました。
主治医に診断書をお書きいただく際は、本人へのヒアリングに基づいて今までの経緯や日常生活の状況に加えて、社会的治癒を主張する旨なども参考資料にまとめ、受診時にお渡しいただきました。
病歴就労状況等申立書を作成する際は、社会的治癒を主張する旨も主張しておきました。
結果
無事に社会的治癒が認められ、障害認定日まで遡って障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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