うつ病で通院中断期間が3年半でも社会的治癒が認められたケース(事例№5919)
相談時の状況
うつ病を患っておられる、40代の女性からご相談いただきました。
主治医に障害年金を申請したいと相談されたところ、まずは当センターへ相談するようにと紹介されたそうです。
社労士による見解
この方は20代後半に結婚し、その後度々パニック発作が出るようになったそうですが、仕事はしていなかったため日常生活に大きな支障は発生せず、どこも受診しなかったそうです。
約5年後に離婚され、経済的な理由から就職したところ、パニック発作が仕事に影響するようになり、うつ症状も出現したため精神科へ通院するようになりました。
2年程投薬治療を受けたところ症状が改善したため、通院を終了されました。
その後は問題なく社会生活を営めていましたが、数年後に再婚したところ、再婚相手からDVを受けるようになり、うつ症状が出現して再び同じ精神科へ通院するようになりました。
障害年金制度における初診日とは、「障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日」と定義されています。
つまり、「関係があると思われる症状について初めて医師に診てもらった日」ということです。
原則は一番最初に掛かった時点が初診日となるのですが、年金や健康保険などの社会保険には「社会的治癒」という考え方があり、再発した時点を初診日と判断してもらえる場合があるのです。
この社会的治癒とは、一旦寛解に至って投薬治療などの必要がなくなり、数年に渡って社会生活を問題なく営めていた人が、再び症状が出現して治療を受けるようになった場合に、再発時点を初診日として取り扱ってもらえるというものです。
しかしこの社会的治癒は障害認定基準などに明記されているわけではなく、詳細な規定があるわけではありませんので、主張すれば必ず認められるというわけではありません。
特にこの方は、通院の必要が無かった期間が3年半と比較的短かったため、主張しても認められない可能性がありました。
受任してから申請までに行ったこと
主治医に社会的治癒の法理について細かく説明し、ご理解いただきました。
そして診断書をお書きいただく際には、通院中断中は問題なく社会生活を営めていたとご判断いただいている場合は、そのことをありのままにお書きいただきたいとお伝えしました。
病歴就労状況等申立書をこちらで作成する際は、社会的治癒を主張する旨と、社会生活を問題なく営めていたことについても明記しておきました。
結果
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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