当時の診察券だけで初診日を証明し障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5704)
相談時の状況
主治医からの紹介で、自閉症スペクトラムと双極性感情障害の診断を受けておられる、30代の女性からご相談いただきました。
ご本人は場面緘黙症もあり、家族以外とは会話ができないため、面談には妹さんも参加されました。
社労士による見解
この方は、母親探索行動がなく、幼少期から一人で行動していたそうです。
気になるものがあると衝動的に飛び出し、車に轢かれそうになったり、迷子になったりすることがよくありました。
また聴覚過敏や光過敏もあり、かなりの偏食もあったそうです。
拘りも強く、思い通りにならないと癇癪を起こして暴れることが度々ありました。
小学校では、自分からクラスメートに声をかけることができず孤立していました。
4年生になると担任教師がよく怒鳴る人で、自分以外が怒られている場合でも恐怖を感じ、不登校となりました。
中学校は入学して3日で登校できなくなり、自宅に引き籠るようになりました。
中学卒業後は通信制高校へ進学しましたが、やはり数か月で登校できなくなり、3歳離れた妹が入学するまで休学しました。
またこのころから緘黙の症状が強くなり、母と妹以外とは一切会話できなくなったそうです。
高校卒業後は職業訓練を受け、いくつか資格を取得しましたが就職には至らず、完全に自宅へ引き籠るようになりました。
ベッドから起き上がることもできない状態が続いたため、妹が心配して精神科クリニックを受診させたそうです。
以後は月に1回の頻度で通院していましたが、効果が無いと感じて1年も経たずにいかなくなりました。
その後は気分の浮き沈みが目立つようになり、うつ状態がひどい時は一日中横になっているしかなく、比較的気分が上向いているときは、購買意欲が高まって際限なく浪費を繰り返す状態でした。
悪化する一方だったため、家族の勧めで2年前に別の精神科クリニックを受診したところ、発達検査により自閉症スペクトラム障害であったことが判明し、その二次障害として、Ⅱ型の双極性感情障害を発症していることがわかりました。
障害状態は等級に該当することが明らかでしたが、最初に掛かったクリニックは既にカルテが破棄されており、それ以外の記録も一切残されていないことがわかりました。
受任してから申請までに行ったこと
ご自宅を探してもらったところ、初診日の記載もある診察券が見つかりました。
総合病院であれば、何科を何のために受診したかわからないため証拠になりませんが、精神科クリニックでしたので認められる可能性があると判断しました。
その旨をご紹介いただいた主治医にも念のため説明し、把握しておられる範囲内で、初診に関する情報も詳細に記載してほしいとお願いしました。
結果
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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