がんのショックから発症したうつ病で障害厚生年金2級に認められたケース（事例№6953）

相談時の状況

以前から乳がんの治療を受けておられ、そのショックからうつ病を発症された５０代の女性からご相談いただきました。

社労士による見解

この方は１０年前に乳がんを発症したそうです。

一旦は治療を終了し、その後は経過観察を続けていましたが、４年前に再発しました。

また同時期に家族をがんで失ってしまい、精神的なショックからうつ症状が出現したため精神科へ通うようになりました。

がんは骨転移もわかり、仕事を続けられなくなりました。

家で大半を横になって過ごすようになりましたが、その原因は化学療法の後遺症よりも、うつ病による影響が大きいと判断し、がんについてではなく、うつ病について障害年金を申請することにしました。

障害年金の初診日は、「障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日」と定められています。
つまり、申請する傷病と違う病名であっても、その原因となった傷病があれば、そちらで初診日を判断する場合があるのです。

そう書くと今回のうつ病も、ショックを受ける原因となったがんが初診日になると思われるかもしれませんが、そうはなりません。

たとえ医学的な因果関係が認められる場合でも、障害年金制度上は、「相当因果関係」があると認められるほどでなければ初診日と判断されません。

「相当因果関係」がある状態とは、イメージとしては、「その病気が悪化すると、大抵そうなる」というくらいの強い因果関係です。

がんになられた方が、みなさんうつ病になるわけではありませんので、がんのショックが原因になっていることが明らかでも、うつ症状を初めて医師に診てもらった時点が初診日と判断されるのです。

事故などのショックで精神疾患を発症した場合も同様です。

この方の場合は、がんの治療で以前から通っていた病院の、精神科をうつ症状で初めて受診された２年前が初診日になると判断しました。

受任してから申請までに行ったこと

診断書作成を依頼していただく際は、今までの経緯や日常生活の状況などについてご本人から伺った内容を参考資料としてまとめ、受診時に医師へお渡しいただいたところ、実態に即した問題ない内容でお書きいただけました。

病歴就労状況等申立書を作成する際は、がんに関することはあまり記載せず、精神障害に関することだけに焦点を絞って作成しました。

結果

無事、障害厚生年金2級に決まりました。

社会保険労務士　舩田 光朗（ふなた てるあき）

舩田 光朗社会保険労務士

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