うつ病で社会的治癒を主張し障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5714)
相談時の状況
精神科クリニックの主治医から紹介されたとのことで、うつ病を患っておられる50代の女性からご相談いただきました。
社労士による見解
詳しくお話を伺ってみると、初めてそのクリニックを受診されたのは約20年前でした。
抑うつや不眠の症状を訴えて受診されたのですが、数か月で症状は改善し、通院を終了されたそうです。
その6~7年後に、仕事のストレスから再度不眠に悩まされるようになったためもう一度通院するようになりましたが、その時も数か月で改善したそうです。
さらにその数年後にも症状が出現したため通院を再開されましたが、数か月で改善しました。
その後は何の問題もなく社会生活を送っておられましたが、約2年前に家族の健康問題と職場の人間関係から抑うつや不眠の症状がでるようになり、同じクリニックへ通うようになりました。
しかしそれまでと違って症状は改善せず、仕事にも支障が出るようになったため、数か月前に退職されました。
この方の本来の初診日は、約20年前に初めて精神科クリニックを受診された時点です。
しかしこの方の通院は断続的で、5年以上感覚を開けて約2年前から本格的に治療を開始されていましたので、「社会的治癒」に該当する可能性が高いと判断しました。
「社会的治癒」とは、障害年金や健康保険などの社会保険に見られる法理です。
投薬治療などを行う必要が無いほど回復し、問題なく社会生活を数年に渡って行えていたが、再び悪化して治療を再開した場合に、再発した時点が初診日と判断されます。
ところが残念ながら、主張すれば必ず認められるというわけではなく、決してハードルは低くありません。
受任してから申請までに行ったこと
診断書作成を依頼していただく際には、病歴や日所生活状況をまとめた資料と合わせて、社会的治癒に関する説明をまとめた文書も作成し、受診時に医師へお渡しいただきました。
また病歴就労状況等申立書を作成する際は、内容に、社会的治癒に該当することを説明する文章も盛り込んでおきました。
結果
無事に主張が認められ、約2年前を初診日として障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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