審査に通らない病名で診断書を書かれたが障害厚生年金3級に認められたケース
ご相談にいらした状況
ご本人よりお電話でご相談いただき、後日無料相談会にご参加いただきました。
社労士舩田による見解
お会いして詳しく状況を伺ったところ、この方の病名は広汎性発達障害及び統合失調症でした。統合失調症については幻聴や妄想などの症状は治まっていたものの、陰性症状のため抑うつ状態が酷く、元々の広汎性発達障害の特徴から他人とのコミュニケーションも難があったため、障害等級に該当すると判断しました。
受任から申請までに行ったこと
過去5年以上に渡って診察していただいている主治医にご本人から障害年金の申請を行いたい旨をご相談いただいたところ、医師は信じられないセリフを口にしたそうです。「私の仕事は病気を治すことであって、診断書を書くことではない」「障害年金はタカリがもらうものだ」医師に協力する気が無いことは明らかでしたが、医師法により医師は診断書の作成を拒否することができないと定められていますので、正式に依頼すれば書かざるを得ません。
可能な限り実態に即した診断書を作成していただくための参考資料を作成し、医師へお渡しいただきました。しかし出来上がってきた診断書の傷病名を確認したところ、長年「広汎性発達障害及び統合失調症」と診断していたにもかかわらず、病名だけで障害年金の審査対象から外されてしまう「心因反応」と書かれてしまいました。実は精神疾患で障害年金を申請する場合、審査対象から外されてしまう病名はいくつも存在するのです。
この医師は、障害年金を受給できなくなる病名をわざと書いたのです。嘘のような話ですが、本当の話です。医師へ直接説明させてもらいたいと申し出ましたが、断られてしまいました。本人からも医師へお願いしてもらいましたが、「嫌ならほかの医師に見てもらえ」と言われてしまいました。障害認定日時点ではこの医師の診察しか受けておられませんでしたので、他の医師に診断書を作成してもらうことは不可能です。
現時点の診断書にしても、体調が優れないため新たに病院を探して受診しなおすことはできませんでした。しかし診断書の内容を詳しく見てみると、病名こそ「心因反応」と書かれてしまいましたが、症状や治療内容は「広汎性発達障害」と「統合失調症」だと判断できる内容でした。そこで、こちらで作成する病歴就労状況等申立書には発症から現在までの状況を詳しく書き込み、決して病名は「心因反応」ではないと説明しました。
更に、この医師が以前作成して精神障害者福祉手帳の診断書のコピーが残っており、そこには広汎性発達障害と統合失調症が病名としてはっきり書かれていましたので、これも参考資料として提出しました。
結果
無事、障害厚生年金の3級に認められ、5年分の遡及も行われました。
残念なことですが、障害年金制度に偏見を持っており、協力したがらない医師はたまにいらっしゃいます。今回のケースのような医師は稀ですが、わざと軽めの症状で書かれたり、いい加減な書き方をされてしまうことはよくあります。故意に妨害をするような医師を説得することは困難ですが、悪気なく間違った診断書の書き方をされてしまうことはよくありますので、まず専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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