内科で抗不安薬を処方されていたがその後の精神科が初診に認められたケース(事例№5449)
相談時の状況
数年前からうつ病を患っておられる、60歳の男性からご相談いただきました。
通院しておられる精神科クリニックの医師から障害年金を勧められ、当センターをご紹介いただいたそうです。
社労士による見解
この方は大学を卒業してから、ずっと同じ会社に勤めておられました。
長年、何の問題もなく過ごしてこられたのですが、数年前に部署異動で東京へ単身赴任となり、しかも未経験の業務だったため、ストレスが溜まるようになったそうです。
初めに不眠の症状が出現し、徐々に抑うつ症状も出るようになりました。
食欲も低下し、何をやっても感情が湧かなくなっていたため、上司の勧めで近くの精神科を受診したところうつ病と診断され、休職を勧められました。
すぐに休職し、京都の実家に戻って静養されていたのですが、結局症状は改善せず、そのまま定年退職されました。
受任してから申請までに行ったこと
最初に受診された東京の精神科クリニックへ電話し、受診状況等証明書(初診日証明)の作成を依頼しました。
数週間後にクリニックから届いた書類の内容を見たところ、その精神科の数か月前に一度だけ内科を受診し、抗不安薬を処方された、との記載がありました。
障害年金制度における初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」と定められています。
つまり精神疾患での申請でも、精神的なことが原因と思われる症状を内科などで初めに診てもらった場合は、そちらを初診日とするのが原則です。
「初めて精神科を受診した日」ではないですし、「診断名がついた日」でもないのです。
ですので、どこの内科を受診されたのか判明させ、そこで受診状況等証明書を作成してもらう必要が本来はありました。
ところが数年前から、なぜか上記原則を無視して、初めて精神科に掛かった日が初診日と判断されるケースが非常に増えています。
これは間違った審査だと思うのですが、この方にとって特に不利益がありませんでしたので、そのまま精神科を初診日と主張して申請してみました。
結果
予想通り、内科ではなく精神科が初診と判断され、無事に障害厚生年金2級となりました。
今回のケースは内科を初診に認められなくても不利益が無いのでよかったのですが、状況によっては不利になることもありますので注意が必要です。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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