【ASD・ADHDで障害厚生年金2級】社会的治癒が認められ受給できたケース
相談時の状況
自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠如多動性障害(ADHD)の診断を受けておられる30代後半の女性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は幼少期から癇癪がひどく、よく痙攣しながら泣き叫んでいたそうです。
他人の前ではおとなしく、幼稚園でも一人でじっとしていることが多かったのですが、家では気に入らないことがあると、頻繁に記憶がなくなるほど泣き叫んでいました。
小学校では、勉強の成績は良かったのですがじっとしていることが苦手で、興味がない授業は全く耳に入らず、よく先生から怒られていたそうです。
また人づきあいが苦手で、クラスでは孤立していました。
中学では朝起きられなくなり、1年生の途中から不登校となったそうです。
高校では何とか友達を作ろうと積極的にクラスメートへ話しかける努力をしましたが、会話のキャッチボールができず、いつも自分が興味のあることを一方的にしゃべるだけだったので、どんどん人が離れていってしまったそうです。
高校卒業後は難関私立大学へ進学しましたが、やはり友達は作れず孤立しました。
またアルバイトにチャレンジしましたが、あいまいな指示は理解できず、不注意によるミスも多かったため、自分は脳に異常があるのかもしれないと考えるようになったそうです。
精神科を受診して検査を受けたところ、注意欠如障害(ADD)と診断され薬を処方されましたが、飲むのが怖くて通院はしませんでした。
元々成績は優秀で、文章を書くことが得意だったため、大学卒業後は新聞社へ就職しました。
記事を書くことは問題なかったのですが、やはり人間関係は形成できず、30歳で退職し実家へ戻りました。
今後のことが不安になり、やはり自分はおかしいのではないかと考えて地元の精神科へ通院するようになりました。
2つ目の精神科でASDとADHDの診断を受けたそうです。
大学時代に一度だけ受診した精神科へ問い合わせてみたところ、15年上も前のことでしたので、何の記録も残っていないと言われたとのことでした。
受任してから申請までに行ったこと
最初の精神科へこちらからも連絡を取ってみましたが、やはりカルテは破棄されており、受診日の記録なども一切残っていませんでした。
ところが受診は1回だけで、その後会社勤めができていた期間も数年に渡って存在し、地元の精神科へ通いだしたのは初診から7~8年も経過してからでしたので、社会的治癒を主張してみることにしました。
「社会的治癒」とは、障害年金や健康保険などの社会保険に見られる法理です。
投薬治療などを行う必要が無いほど回復し、問題なく社会生活を数年に渡って行えていたが、再び悪化して治療を再開した場合に、再発した時点が初診日と判断されます。
ただし、主張すれば必ず認められるというわけではありません。
通院していない期間が長期にわたってあったとしても、症状が継続していたと見なされれば社会的治癒とはみなされませんので、発達障害の場合は認められない可能性があると考えました。
しかし中断期間に就労もできていましたので、そこをアピールしてチャレンジしてみることにしました。
診断書の作成を医師に依頼してもらう際には、社会的治癒の説明や、中断期間のこともしっかりお書きいただけるよう、資料にまとめたものをお渡しいただきました。
病歴就労状況等申立書を作成する際は、中断期間は問題なく社会生活を送れていたことを強調しておきました。
結果
無事に社会的治癒が認められ、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
-
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
「相談して良かった」「やるべきことが明確になった」と、相談後には気持ちが前向きに、軽くなれる様、耳を傾け、アドバイスすることを心掛けております。まずはお気軽に相談ください。
- 12月 13, 2024内臓系の障害妻の日記などから糖尿病の初診日を証明できたケース(事例№6936)
- 12月 6, 2024精神の障害最初の受診から2年後が初診日と認められ若年性認知症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6890)
- 11月 29, 2024精神の障害社会的治癒が認められ20歳前からのうつ病で障害厚生年金2級に決まったケース(事例№6831)
- 11月 22, 2024内臓系の障害IgA腎症からの腎不全で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6820)
関連記事
クイックタグから関連記事を探す
「知的障害・発達障害」の記事一覧
- 軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6860)
- 障害認定日より1年以上経過した現症日の診断書で遡及請求が認められたケース(事例№6387)
- 50歳前で発覚した軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6712)
- 【発達障害で障害基礎年金2級】50歳を超えてから発覚したADHDで受給できたケース
- 初診日について間違った内容を診断書に書かれたが障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6585)
- 自閉症スペクトラムで障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6505)
- ADHDと双極性障害で障害基礎年金2級に障害認定日まで遡って認められたケース(事例№6489)
- 医師から障害年金は無理と言われていたが発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6416)
- 働きながらでもADHDで障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6111)
- どこにも通院していなかったが知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6369)
- 働きながらでも発達障害で障害厚生年金2級に5年遡及で認められたケース(事例№6321)
- 強迫性障害で長年治療を受けていたが障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6315)
- 重度知的障害なのに申請できないと言われていた方が障害基礎年金1級に永久固定で認められたケース(事例№6299)
- 【知的障害で障害基礎年金2級】境界知能だったが生活への支障を申立書に反映し受給出来たケース
- 自分で障害基礎年金の申請をして不支給になっていたが、障害厚生年金で再チャレンジし2級に認められたケース(事例№6030)
- 自閉症スペクトラム障害と注意欠如多動性障害について自分で申請し不支給とされていたケース(事例№6183)
- 母親がうつ病で障害年金手続きしようとしたが制度が難しく困っておられたケース(事例№5981)
- 他の社労士がサポートして不支給になっていたケース(事例№5875)
- 一度不支給とされたが再チャレンジで障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5950)
- 長年引き籠っている娘を両親が支えきれなくなったケース(事例№5889)
- 知的障害で障害基礎年金2級を受けていたが更新時に診断書作成を断られていたケース(事例№6011)
- 最近まで一般就労できていたが永久固定で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5807)
- 初診証明が困難だったが知的障害と判明して問題なくなったケース(事例№5167)
- 障害年金を受けることに抵抗を感じておられたケース(事例№267)
- 当時の診察券だけで初診日を証明し障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5704)
- 軽度知的障害で障害基礎年金2級に永久固定で認められたケース(事例№5782)
- 自閉症スペクトラムで障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5767)
- 長年一般就労できていたが軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5462)
- 医師から無理だと言われていたが働きながらでも障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5717)
- 40代で初めて診断された軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5465)
- 弁護士でも窓口担当者に申請受付を拒否されていたケース(事例№5487)
- 大学に通いながら発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5434)
- 知的障害で障害基礎年金2級を受給していたが支給を停止されていたケース(事例№5230)
- 精神障害専門と謳う社労士が信用できないとして医師からご相談いただいたケース(事例№5493)
- 知的障害と発達障害で障害基礎年金2級に永久固定で認められたケース(事例№5349)
- 発達障害で申請したが不支給となり再チャレンジしたケース(事例№5320)
- 【発達障害で障害基礎年金2級】一度不支給になったが再度申請して受給できたケース
- 3級にも該当せず不支給とされたが審査請求で2級に変更されたケース(事例№5100)
- フルタイム勤務しながら発達障害で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5288)
- 発達障害で障害年金を受給していたが違法薬物の影響を疑われ支給を停止されていたケース(事例№5219)
- IQ67の軽度知的障害で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5199)
- 不支給からの再チャレンジでカルテの提出を求められたケース(事例№5083)
- ADHD・ASD・躁うつ病で働きながら障害厚生年金2級に認められたケース
- 自閉症で長年受給していたが突然支給停止されたケース(事例№5094)
- 不支給のときとほぼ同じ内容の診断書で再度申請し認められたケース(事例№266)
- 初診のカルテが破棄されたと思い込んでおられたがアスペルガー症候群で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5018)
- 発達障害で毎回ほぼ同じ内容の診断書を提出し3回目で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5136)
- 中等度の知的障害でも不支給になっていたケース(事例№709)
- 初診日を状況証拠などで証明し発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№294)
- 軽度知的障害のあるご本人が医療機関を混乱させていたが障害基礎年金2級に認められたケース(事例№256)
- 知的障害と発達障害で申請して不支給になっていたが再チャレンジで障害基礎年金2級に認められたケース(事例№35)
- 通院したことがない知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№463)
- 発達障害で20歳まで遡って障害基礎年金2級に認められたケース(事例№462)
- 就労支援A型で働きながら知的障害と発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№1519)
- 小脳低形成症で相談され発達障害で障害年金申請したケース(事例№53)
- 発達障害で障害年金を申請しようとしたがどこの社労士に相談しても無理と言われていたケース(事例№458)
- 60歳を超えてから発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- IQが高いため医師から無理と言われたが軽度知的障害で障害基礎年金1級に認められたケース
- 50代後半で知的障害が発覚し障害基礎年金2級に認められたケース
- 神経線維腫症Ⅰ型と軽度知的障害で障害基礎年金1級に認められたケース
- 二次障害が無い軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 自閉症スペクトラムで障害基礎年金1級に認められたケース
- 医師から無理だと言われていたが発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- いくつもの精神科で医師に嫌がられていたが発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 一般就労していたが軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 二次障害のない広汎性発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 発達障害での障害年金請求についてご自身で年金事務所へ相談されていたケース
- 幼少期に一度受診しただけだったが発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 面談時に軽度知的障害がわかり障害基礎年金2級を受給できたケース
- 診断書を書けないと言われていたが発達障害と知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 主治医から障害年金は無理だと言われていたが軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 摂食障害で通院していたが知的障害とわかり障害基礎年金2級に認められたケース
- 診断書のポイントがずれていたため知的障害と認められなかったケース
- 医師から診断書の書きようがないと言われていたが発達障害で障害基礎年金2級を受給できたケース
- 【知的障害で障害基礎年金2級】軽度精神遅滞で2級に永久認定されたケース
- 過去一度も診察を受けたことが無かったが軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース
- 知的障害を初めて医師に診てもらい数か月後に申請して永久固定で障害基礎年金2級に認められたケース
- 重い知的障害なのに不支給とされていたが永久固定で障害基礎年金2級に認められたケース
- 知的障害で診断書を軽く書かれ困っていたが障害基礎年金2級を永久固定で受給できたケース
- 自閉症スペクトラムで障害基礎年金2級に認めら遡及も行われたケース
- 中等度の精神遅滞で障害基礎年金1級に認められたケース
- 【ASDで障害基礎年金2級】障害者雇用でフルタイム勤務できていたが受給できたケース
- わざと審査に通らない内容に診断書を書き直されたが知的障害で障害基礎年金2級を受給できたケース
- アスペルガー症候群と統合失調症で障害基礎年金2級に認められたケース
- DQ56の知的障害だが不支給となり再チャレンジで障害基礎年金2級を受給できたケース
- 広汎性発達障害とうつ病で障害厚生年金2級に認められたケース
- DQ39の知的障害だが病歴就労状況等申立書に問題があって不支給とされていたケース
- DQ69の軽度精神遅滞で障害基礎年金2級に認められたケース
- 当センター相談後に精神遅滞と発達障害であることが分かり障害基礎年金2級に認められたケース
- 軽度の知的障害とうつ病で障害基礎年金2級に認められたケース
- 広汎性発達障害と知的障害で障害基礎年金2級を受給できたケース
- 審査に通らない病名で診断書を書かれたが障害厚生年金3級に認められたケース
- アスペルガー症候群と双極性感情障害で障害基礎年金2級が認められたケース
- アスペルガー症候群で障害基礎年金2級に認められ遡及も行われたケース