自閉症スペクトラムで障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6505)
相談時の状況
自閉症スペクトラム障害の診断を受けている20代の息子さんについて、お母様からご相談いただきました。
障害年金について主治医から教えられ、まずは当センターへ行くよう言われたとのことでした。
社労士による見解
お母様から詳しくお話を伺ったところ、この方は昔からあまり人に興味が無く、いつも静かに一人で遊んでいたそうですが、こだわりが強く、思い通りにいかないことがあると癇癪を起して暴れることがあったそうです。
小学校では、仲間外れにされていたわけではないが、輪には入らず、常に外から眺めているような印象だった。
一人でいることを好み、常に本を読んでいたそうです。
普段は無口ですが、好きな歴史の話になると饒舌になり、一方的に延々と話し続けることはあったそうです。
中学・高校でもあまり状況は変わりませんでしたが、大学に入学したころから問題が表面化するようになりました。
まず、履修登録が一人では行えず、周りに手伝ってもらい何とか行えたそうです。
様々な手続きも調べもせずに放置していたため、大学から電話がかかってきたこともあったそうです。
また大学からは電車通学になったのですが、満員電車だとパニック発作が起こるようになり、1限目の授業にでることができなくなったため、母親につれられて大学内の診療所を受診しました。
精神科クリニックを紹介され、通院して投薬治療を受けるようになりましたが、症状は悪化する一方で、朝に起きられなくなり、重い抑うつ症状もでるようになりました。
何度か休学と復学を繰り返しましたがよくならず、結局1年後に大学は辞めたそうです。
中退後は家に閉じこもり、一日中自室でゲームばかりしていました。
症状が改善しないため、別の精神科クリニックへ転医したところ、そこで初めて自閉症スペクトラム障害と診断されました。
現在も通院は続けていましたが、本人は好きな歴史のこと以外は興味がなく、自身の将来についても考えていないようでした。
通院や服薬も母親が声を掛けなければ行えず、身の回りのことも興味がないためか何もしないため、母親がすべて面倒を見ていました。
一般就労できる見込みもなく、母親がいなければ何もできない状況でしたので、障害年金を受給したほうが良いと医師に進められたようでした。
受任してから申請までに行ったこと
まずは大学の診療所へ連絡し、初診証明である受診状況等証明書の作成を依頼しました。
取得後は、お母様から詳細にヒアリングした内容をもとに、幼少期から現在までの状況を文書にまとめ、診断書作成依頼時に医師へお渡しいただきました。
病歴就労状況等申立書は、いかに自閉症スペクトラムの特性が原因で社会に適応できていないかを理解してもらうことを意識して作成しました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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