重度知的障害なのに申請できないと言われていた方が障害基礎年金1級に永久固定で認められたケース(事例№6299)
相談時の状況
地域の障害者生活支援センターから紹介されたとのことで、重度の知的障害をお持ちの50代男性の成年後見人をされている、司法書士さんからご相談いただきました。
A判定の療育手帳と1級の精神保健福祉手帳を取得しているのに、一度も年金の保険料を納めたことがないため申請できないと役所の窓口で言われ、あきらめていたそうです。
社労士による見解
この方は昔から、問題行動を起こすたびに精神病院への強制入院を繰り返してこられたそうです。
話しかけてもまともな返答はなく、成年後見人をされている司法書士さんとも意思の疎通は全くできていませんでした。
身寄りもなく、会話も成り立たないため、養育歴などをご存じの方は一人もいらっしゃいませんでした。
重度の知的障害と診断されていましたが、検査を受けることもできないほどでしたので、IQの測定も不可能な状態でした。
確かに障害年金は、初診日時点での保険料納付要件を満たさなければ受給することができません。
この方は一度もまともに保険料を納めたことが無かったため、窓口の方は無理だと判断されたのではないでしょうか。
しかし、知的障害があると認められる場合は、初めて医師の診療を受けた日ではなく、『生まれた日』を初診日と判断する特例があります。
生まれた日が初診日ということは、年金制度に加入する前ですので、保険料納付要件は一切問われません。
また、原則は初診日をカルテに基づいて証明する必要があり、既にカルテはそれに代わるような証拠が残っていなかったり、そもそもどこの医療機関に掛かったのかもわからないような場合は、障害年金の受給をあきらめなければなりませんが、知的障害は生まれた日が初診日と扱われますので、初診証明も不要です。
この方は、何の問題もなく障害基礎年金1級を受給できると判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
上記のような状況を医師に説明するための資料を作成し、受診時にお渡しいただいたところ、問題のない診断書をお書きいただけました。
病歴就労状況等申立書はこちらで作成しましたが、そもそも正確な養育歴は誰も把握できていませんでしたので、その前提で、内容を簡潔にまとめて作成しました。
結果
無事、障害基礎年金1級に、更新の必要がない永久固定で決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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