自閉症スペクトラム障害と注意欠如多動性障害について自分で申請し不支給とされていたケース(事例№6183)
相談時の状況
自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠如多動性障害(ADHD)の診断を受けておられる20歳の娘さんについて、お母様からご相談いただきました。
20歳になってすぐにお母様が手続きをされたのですが、不支給の通知が届いたそうです。
社労士による見解
この方は中学生の頃が初診でしたので、20歳前障害として障害基礎年金(国民年金)の対象でした。
障害厚生年金なら障害等級が3級まであるのですが、障害基礎年金は2級からしかありません。
提出された診断書のコピーを拝見すると、2級には届かない3級程度の内容になっていました。
またお母様が作成された病歴就労状況等申立書も拝見すると、週3日のアルバイトをしていることが書かれていました。
障害の種類にもよりますが、アルバイトやパートでも『一般就労』できていると見なされると、障害状態を軽く判断されてしまい、まず2級には認められなくなることが大半です。
実際には精神保健福祉手帳を取得しておられ、それを職場に提示して就労されていましたので、等級審査に影響が出にくい『障害者雇用』と判断して問題ない状況だったのですが、そういった事情は書かれていませんでしたので、一般雇用と判断されたものと思われます。
ご両親に日常生活状況について伺うと、ASDとADHDに加えて、IQも70台と境界知能に当たるため、理解力も非常に低いようでした。
他者との会話は自分がしゃべりたいことを一方的に話すだけで、相手の話は聞こうとしません。
アルバイト先でお客さんから質問されても返答しないため、トラブルになることが多いそうです。
また忘れ物が激しく、片付けもできないため、常に周りのサポートを必要とします。
予約や約束という概念が理解できず、電子決済やATMの使い方も理解できないため、金銭管理はすべてお母様が行っておられました。
それに加えて不眠や希死念慮の症状もあり、過去に自殺未遂の経験もありましたので、障害等級2級以上に該当することは明らかでした。
受任してから申請までに行ったこと
前回不支給と判断された診断書をお書きいただいた医師に、ご両親からヒアリングした日常生活状況や、診断書の正しい書き方などを資料にまとめて受診時にお渡しいただいたところ、実態に即した問題のない内容でお書きいただけました。
病歴就労状況等申立書もこちらで一から作成しなおし、就労についても、障害者雇用であることを詳しく記載しておきました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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