医師から無理だと言われていたが発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース
相談時の状況
発達障害がある20代男性のお母様からご相談いただきました。
2年前から受診している病院の主治医にお母様から障害年金の相談をされたところ、あからさまに嫌そうな顔をしながら「無理だと思いますよ」と言われてしまったそうです。
また申請書類一式をもらうために区役所の年金課へ行かれたのですが、職員の説明は要領を得ず、申請書類の提供も拒否されてしまったため、どうすればよいかわからなくなって当センターへお越しいただきました。
社労士による見解
息子さんは赤ん坊のころから非常におとなしく、お母様は育てやすいと感じておられたそうです。
しかし保育園では自分がやりたくないことは絶対にやろうとせず、先生の言うことも殆ど聞かなかったそうです。
小学校に上がっても集団行動が一切できず、集団登校もできなかったため、毎日母親が学校まで手をつないで通わせていました。
下校は一人でさせていたのですが、興味を惹かれるものを見つけるとすぐにどこかへ行ってしまい、度々行方不明になったそうです。
学校での勉強は算数が全く理解できず、手先を使うような作業も殆どできませんでした。
またいつもマイペースで、授業中は参観日でも気にせず居眠りをしていたそうです。
中学校に上がっても状況は変わらず、特に授業中の居眠りが酷くなっていたため、地元の大学病院を受診させたところナルコレプシーと診断されました。
高校卒業後は大学に進学し、親元を離れて京都で一人暮らしをするようになったのですが、強いこだわりから同じ大学の学生たちの茶髪や授業中の私語が我慢できず、入学後数日で通学できなくなり、自室に引き籠るようになったそうです。
母親が心配して秋ごろに下宿先を訪ねてみると、部屋はゴミ屋敷と化しており、母親が定期的に送っていた睡眠障害の薬も一切手を付けていなかったそうです。
酷い抑うつ状態でしたので、母親が無理やり京都の大学病院の精神科を受診させたところ、医師から発達障害の可能性を指摘され、発達検査を受けさせたところ、ADHDと診断されました。
大学は休学し、定期的に通院して様子を見ていましたが、症状に改善が見られなかったため2年前に別の総合病院へ転医したところ、そこでは自閉症スペクトラム障害と診断されました。
発達障害の特徴から人間関係を一切構築できず、二次障害と思われるうつ症状も重かったため、間違いなく障害等級2級以上に該当するほどの状態でした。
しかし主治医は協力する気が無く、過去に当センターで診断書をその医師に書いてもらった実績から見ても、実態に即したまともな内容でお書きいただける可能性は低いと判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
お母様は主治医に冷たく突き放されてしまったことから転医を希望されていましたので、発達障害に強い信頼のおける医師をご紹介したところ、すぐにそちらへかわられました。
初診時には、お母様からヒアリングした養育歴などを詳細な資料として作成し、医師へお渡しいただきました。
病歴就労状況等申立書も、お母様から伺った詳細な情報を盛り込んで作成しました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
精神疾患は目に見えないものですので、診断書は殆どその医師の主観によって書かれます。
そのため同じ障害状態の方でも書く医師によって内容は大きく異なり、病名すら全く別のものになることも珍しくありません。
障害状態の審査は本人の状態を直接確認することなく、診断書などの書類だけを見て判断されますので、慎重に対応されることをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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