診断書を書けないと言われていたが発達障害と知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース
相談時の状況
障害者就業生活支援センターの職員さんからご相談いただき、後日お母様とご本人に施設内でお会いしました。
社労士による見解
この方は幼少期から集団行動が苦手で、勉強もあまりできなかったそうです。会話も少し長くなると理解できない状態だったのですが、元々おとなしく、口数も少なかったため、ご両親も異常には気づいていなかったようです。
社会に出て仕事をするようになっても、すぐに辞めさせられてしまうことを繰り返すため、1年前にお母様が異常を感じて精神科で発達検査を受けさせたところ、広汎性発達障害と診断されました。IQも64しかなく、軽度精神遅滞であることもわかりました。
うつ症状等の2次障害はなかったので投薬治療は受けておられなかったのですが、カウンセリング目的で1年間通院され、主治医に障害年金の相談をされたところ、「診断書は直ぐには書けない。あと2年くらい通院すれば書ける」と言われたそうです。
どこへ就職しても人間関係を構築できず、仕事内容も理解できないことからすぐクビになってしまうため、何か方法は無いかと就業生活支援センターへ相談されたようです。
実際にお会いしてみると、非常に朗らかで、服装や振る舞いも変わったところがありませんでしたので、何も問題ないように見えました。
しかし会話をしてみると、こちらの話す内容はあまり理解できないようでした。
お母様から様々なエピソードをお話いただくと、確かに一般就労することは今後も困難でしたので、障害等級2級に該当する可能性が高いと判断しました。
しかしうつ症状等の2次障害は全くありませんでしたので、診断書の書き方によっては受給できなくなる危険性もありました。
受任してから申請までに行ったこと
主治医は経験の少ない若い方で、過去に他の相談者の診断書をお書きいただいたことがありましたので、障害年金制度についてあまりご存じないことはわかっていました。
そこで、今回の相談者は既に障害年金請求ができる状態にあることをご理解いただくための資料を作成し、お母様から受診時にお渡しいただいたところ、問題のない内容の診断書をお書きいただくことができました。
病歴就労状況等申立書は、知的障害や発達障害は生まれた日から現在までの状況を細かく記載する必要がありますので、お母様へヒアリングを行い、ポイントを押さえて作成しました。
結果
無事、障害基礎年金2級に認められました。
障害年金のことで主治医に相談しても、「あなたは対象にならない」「障害年金をもらえるほどの状態ではない」などと言われてしまうことがよくあります。
しかし残念ながら、障害年金制度について正しい認識や知識をお持ちの医師は非常に稀です。
正しい説明をすればご理解いただけることも少なくありませんので、まずは専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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