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診断書のポイントがずれていたため知的障害と認められなかったケース

相談時の状況

医師より、「障害年金を受けられるはずなのに、申請しても通らない患者がいる」との相談を受け、診察日に同席してお話を伺いました。

 

社労士による見解

この方は、元々IQ60の知的障害と性同一性障害がありました。それが原因で、二次障害としてうつ病とパニック症候群を発症し、約20年も通院治療を続けておられました。

医師に進められて数年前に障害年金請求されたのですが、不支給通知が届いてしまい、自分は障害年金を受けられないと諦めておられました。

まず数年前に届いた年金機構からの不支給通知を拝見すると、不支給の理由は「パニック障害は障害認定の対象とならないため」と書かれていました。
実は精神障害は障害年金の対象外とされてしまう病名が多数あり、長年入院されているような方でも、病名だけで撥ねられてしまうことがよくあります。

前回申請された際の診断書コピーを拝見すると、傷病名は「性同一性障害・パニック障害・うつ病・軽度知的障害」になっていました。

この病名の内、うつ病と軽度知的障害は対象内ですが、性同一性障害とパニック障害は対象外です。
通常はこのように、対象外の病名と合わせて対象内の病名も書いておけば問題ないはずなのです。しかし内容をよく見ると、症状については性同一性障害やパニック障害に関することばかりが書いてあり、知的障害についてもIQは明記されているものの、知的障害の程度を表す箇所にはチェックが入っていませんでした。かなり意地の悪い審査だと感じましたが、不支給とされてしまった原因は明白でした。

 

受任してから申請までに行ったこと

この方の日常生活や就労を困難にしている一番の原因は、知的障害でした。しかし医師は、パニック障害についての治療を中心に行っておられたため、そのことに重点を置いて書かれてしまったようです。

医師に、性同一性障害やパニック障害は障害年金の対象外であることや、日常生活を困難にしている根本原因の知的障害について詳しくお書きいただく必要があることを説明し、診断書を作成していただきました。

病歴就労状況等申立書も、前回はソーシャルワーカーの方と一緒に書かれたそうですが、やはり診断書に合わせてパニック障害を中心とした内容になっていました。また知的障害がある場合は、生まれた日を起点として治療の経過を書かなければならないのですが、これも初めてパニック発作が出現した時点から書かれていました。

これもこちらで作り直し、生まれた日から現在までの状況や、知的障害が原因で生じている問題などを詳細に記載しました。

 

結果

無事永久固定で、障害基礎年金2級に認められました。

障害状態の審査は、提出した診断書や病歴就労状況等申立書の内容だけを見て行われます。審査官や認定医が本人の状態を直接確認してくれるわけではないので、提出書類はポイントを押さえた上で作成しなければ、正しく障害状態を理解してもらえません。まず初めに、経験豊富な専門家へご相談いただくことをお勧めします。

社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

舩田 光朗
舩田 光朗社会保険労務士
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