大学に通いながら発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5434)
相談時の状況
自閉症スペクトラム障害の診断を受けた、20代の男子大学生のお母様からご相談いただきました。
来年卒業予定だそうですが、おそらく就職は困難と思われ、今後の生活設計に悩んでおられるとのことでした。
社労士による見解
この方は幼少期から周りの人に一切興味を示さず、両親のことも認識できていないようで、母親がいなくても探そうとしなかったそうです。
3歳ごろから徐々に言葉を覚えていったそうですが、いつもと同じ環境、同じもの、同じパターンに強く拘り、何かが少しでもことなるとパニックを起こしました。
小学校では軽く肩を叩かれただけで「いじめだ!、暴力だ!」と大騒ぎし、ルール違反をしている児童を見つけると、誰であってもその場で注意したりするため、周りから反感を買って常に孤立していました。
高学年になると母親への嫌悪感を露にするようになり、平気で暴言や暴力を振るいました。
中学に入るとまわりからいじめられるようになり、その原因は全て母にあると主張して、毎晩のように母を攻め続けたそうです。
たまらず地元の大学病院の精神科を受診させたところ、自閉症スペクトラム障害と診断されました。
高校に上がっても状況は変わらず、大学進学に伴って一人暮らしをするようになりましたが、一人では何もできないため、毎週遠方から母親が部屋を訪れて、身の回りの世話を行っていました。
大学内の診療所には、教授が月1回精神科医として診察しておられましたが、お母様が障害年金の相談をされたところ、受給するほどではないと診断書の作成は断られてしまったそうです。
障害者手帳の取得には同意してもらえたそうで、その診断書コピーを拝見したところ、驚くほど軽い内容になっていました。
おそらく、本人は病識が無くあまり話もされないため、日常生活の困難さがほとんど伝わっていなかったものと思われます。
受任してから申請までに行ったこと
今まではほとんどご本人だけで受診されていましたので、今後はお母様も診察に同席してもらうようお願いし、養育歴などを細かく医師へお伝えいただきました。
しかし残念ながら医師の理解は得られず、また大学内の診療所であったため、卒業後も通院できるところへの転医を決意されました。
転医先は、信頼できる精神科をこちらからご紹介し、お母様からヒアリングした内容をまとめた資料をあらかじめ医師へお渡ししたうえで受診していただいたところ、すぐにご理解いただくことができ、スムーズに診断書をおかきいただくことができました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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