働きながらでも発達障害で障害厚生年金2級に5年遡及で認められたケース(事例№6321)
相談時の状況
自閉症スペクトラム障害の診断を受けている20代後半の男性を、精神科クリニックからご紹介いただきました。
社労士による見解
この方は、幼少期から人間関係が苦手だったそうです。
小学校での成績は良かったのですが、クラスでは常に孤立し、3年生ごろからはいじめられるようになりました。
中学は両親が人間関係を一新させるために私立へ進んだのですが、やはり友達は作れず、さらに勉強への興味も失って成績は最低レベルでした。
登校するのが苦痛でしたが、学校を休んではいけないとのこだわりがあったため、不登校にはならなかったそうです。
エスカレーター式に進んだ高等部では部活動を始めたため友達もでき、比較的安定して過ごせたのですが、大学では履修登録がうまくできず、1年で4単位しか取れませんでした。
しかしその後は頑張って何とか4年で卒業し、就職もしましたが、就職先で様々な問題を引き起こしてしまったそうです。
単純なケアレスミスや遅刻などもありましたがそれだけではなく、悪気なく顧客情報を外部の人間に話したり、SNS上にアップしたりして問題になりました。
また、人の気持ちを理解したり、場の空気を呼んだりすることが苦手なため、失礼な発言をして上長や顧客を怒らせてしまうことも日常茶飯事でした。
毎日のように叱責を受けていたため徐々にストレスが蓄積していき、半年後にはうつ状態で出勤できなくなったため、近くの精神科クリニックを初めて受診しました。
すぐに休職を進められ、3か月ほど休みましたが状態は良くならずにそのまま退職したそうです。
希死念慮が出現し、何度か自殺も試みたそうです。
投薬治療を続けることでうつ症状などは改善していきましたが、一般就労は不可能と考え、2年前から障害者雇用で就労しているとのことでした。
二次障害であるうつなどの症状は今後も改善していくと思われましたが、自閉症スペクトラムによる特性から今後も一般雇用で就労することは困難な状態でしたので、障害等級2級に該当する可能性があると判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
ご本人に対して幼少期から現在までの状況について詳しくお話を伺い、参考資料として文書にまとめたものを医師へお渡ししたところ、実態に即した問題のない内容の診断書をお書きいただけました。
病歴就労状況等申立書も、ヒアリングに基づいて詳細にまとめました。
結果
無事、障害認定日まで遡って障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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