中等度の知的障害なのに不支給となっていたケース(事例№7278)
相談時の状況
知的障害と診断された20代女性のお母様からご相談いただきました。
数年前、20歳になった時点でお母様が障害年金の手続きをされたところ、不支給となりました。
通所しておられるB型作業所の相談員さんに相談したところ、当センターへ行くよう言われたそうです。
社労士による見解
不支給と判断された診断書と病歴就労状況等申立書のコピーを面談にお持ちいただきました。
まずは診断書を拝見すると、IQ40台の中等度知的障害で、文章で書かれたこれまでの経緯や症状などを見ると日常生活に支障が出ていることがわかる内容だったのですが、等級審査上で重要視される「日常生活能力」のチェック項目が、少し実態よりも軽く書かれていました。
次に、お母様が書かれた病歴就労状況等申立書を拝見すると、一生懸命たくさんの情報を書かれてはいたのですが、着替えやトイレなどの「日常生活状況」のチェック項目を見ると、半分以上を「1→自発的にできた」を選択しておられました。
残念ですがこれでは、実際には日常生活に大きな支障がでていたとしても、審査する側には伝わりません。
診断書の内容も問題だったのですが、病歴就労状況等申立書の「日常生活状況」の大半を「1→自発的にできた」にしてしまうと、自分で「日常生活に支障はありません」と主張していることになりますので、落としてくださいといっているようなものなのです。
知的障害や発達障害のお子さんの障害年金手続きを親御さんがされるケースは多いのですが、こういった病歴就労状況等申立書上の問題はよく見受けられます。
多く見られるのは、お子さんのことを悪く書きたくないという気持ちが無意識に働くためか、がんばってできるようになったことをアピールしたり、第三者がみればできていないことや異常な行動のことも、長年一緒に過ごしてきたため当たり前になってしまい申立書に書かないケースです。
障害年金の審査は提出されてきた書面のみをみて行われますので、書かれていることしか伝わりません。
受任してから申請までに行ったこと
初めにお母様から、幼少期から現在までの状況や日常生活の様子などについて、詳しくヒアリングを行いました。
ヒアリング内容に基づいて詳細な参考資料を作成し、受診時に医師へお渡しいただいたところ、正しい障害状態を理解していただくことができ、実態に即した診断書をお書きいただけました。
病歴就労状況等申立書もヒアリングに基づいて、実態に即した内容に仕上げました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
今回は無事に通りましたが、最近は一度不支給になると、再チャレンジの審査が厳しくなる傾向にあります。
特に知的障害や発達障害は、障害状態が変化しないはずなので、最初の診断書や病歴就労状況等申立書が実態よりも軽い内容になっていた場合でも、審査する側はその内容を正しいものとして基準にし、「変化するはずのない障害がなぜ悪化したのか?」と疑いの目でみてきます。
カルテの開示や、診断書を作成した医師に「なぜ悪化したのか?」という理由を追加で書かせたりすることなどが増えましたので、最初の申請で失敗しないよう細心の注意を払う必要があります。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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