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発達障害での障害年金請求についてご自身で年金事務所へ相談されていたケース

相談時の状況

ご自身で手続をしようと年金事務所へ何度も足を運び、窓口担当の指示を受けながら進めておられましたが、途中でどうすればよいかわからなくなり、当センターへご相談いただきました。

 

社労士による見解

詳しくお話しを伺うと、この方は子供の頃から人の気持ちが理解できず、場の空気も読めなかったため、学校では常に浮いた存在でした。
人が話すこともあまり理解できず、勉強も殆どできなかったため、中学卒業と同時に就職されました。
しかし就職先でも人間関係を築くことができず、仕事も理解できなかったため、短期間で転職を繰り返しておられました。

仕事がうまくいかないことからストレスを蓄積し、約2年前からうつ症状が出現するようになったため、精神科を受診されたところ、うつ病と診断されました。
またその半年後に主治医の勧めで発達検査を受けたところ、元々広汎性発達障害であったことがわかりました。

 

受任してから申請までに行ったこと

この方に対して年金事務所の窓口では、次のような指示を出しておられました。

——————————————————————————————
1.発達障害とうつ病は別の病気なので、どちらで申請するのか医師に相談してほしい。
2.うつ病で申請するなら、初診日の証明として受診状況等証明書が必要。
3.発達障害なら、生まれつきの障害なので初診日の証明はいらない。
——————————————————————————————

⇒1
発達障害をお持ちの方は、人間関係がうまくいかないことなどからストレスを蓄積させ、二次障害としてうつ病や躁うつ病などを発症してしまうことがよくあります。
この場合、発達障害とうつ病は密接な関係がありますので、別々に申請することはしません。
どちらの病名でも初診日は変わりませんし、両方の病名を診断書に書いてもらって問題ありません。

⇒2
この方は初診から現在まで、一貫して同じクリニックへ通院しておられました。
当然診断書の作成も、そのクリニックの医師に依頼しておられました。
初診証明である受診状況等証明書は、初診の医療機関と診断書作成の医療機関が異なる場合にのみ必要とされます。
同じである場合は、障害状態を審査するための診断書が初診証明も兼ねていますので、わざわざ受診状況等証明書を取得する必要はありません。

⇒3
知的障害が認められる場合は、生まれた日が初診日として扱われますので、確かに初診日の証明は必要ありません。
しかし発達障害は、知的障害と同様に生まれつきの障害ですが、初診日の証明が必要です。
これは、知的障害を伴わない発達障害は、学業などでは問題が生じず、社会に出てから初めて問題が表面化することがあるためです。

ご相談いただいた時点で、窓口の指示に従って受診状況等証明書や診断書を既に取得しておられました。
診断書の内容を拝見したところ、「子供の頃に一度だけ精神科を受診したことがある」というような内容が書かれていました。

これだと、初診日は子供の頃まで遡ってしまいます。
しかも、おそらく当時のカルテは残っていないでしょう。
このままでは、初診日を確認できないとして、確実に不支給となってしまいます。

ところがご本人に詳しく確認してみると、母親の勧めでカウンセラーに相談を一度したことがあるだけでした。
初診日とは、「初めて医師の診療を受けた日」のことですので、これは初診日には当たりません。
ご本人が主治医に曖昧な伝え方をされており、誤解されていたようです。
ご本と直接主治医のところへ出向き、状況を説明したところご納得いただけました。

病歴就労状況等申立書を作成する際は、幼少期から現在までの経緯や日常生活の状況などをご本人から詳しくヒアリングしてまとめました。

 

結果

無事、障害基礎年金2級に決まりました。

障害年金制度は、非常に複雑です。
病気や症状等によって特例事項が多数あり、一般の方が正しく把握することは極めて困難です。
また明確に定められたこと以外にも、医学的な見地から既往症や既存障害が関係してくることも多数あり、病気や症状によってどのように判断されるかを予測しながら対応しなければ、スムーズに手続を進めることができません。

経験を積んでいなければ対応できないことが多くありますので、まずは専門家へご相談いただくことをお勧めします。

社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

舩田 光朗
舩田 光朗社会保険労務士
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
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