40代で初めて診断された軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5465)
相談時の状況
地域の障害者就業生活支援センターから、最近知的障害と判明した40代女性についてご相談いただきました。
仲の良いママ友から、「障害者手帳を取得できるのではないか?」と言われ、初めて自身の障害を自覚されたそうです。
市の発達相談所で検査を受けたところ、IQ53の軽度精神遅滞であることがわかりました。
療育手帳を取得され、区役所で紹介された支援センターを利用するようになりました。
経済的に厳しかったため、支援センターに手伝ってもらいながら障害年金を申請しようとされたのですが、そもそもどこの精神科へ通院すればよいのかわからず困っておられました。
社労士による見解
面談には、ご本人だけではこちらの説明を理解していただくことが難しいと考え、ご高齢でしたがお母様にもお越しいただきました。
お母様に詳しくお話を伺ってみると、やはり言葉を覚えるのがかなり遅かったそうです。
3歳から保育園に預けておられたそうですが、その時点でもしゃべることができず、3歳児健診では発達が遅いと指摘されました。
しかしお母様は、非常に大人しくて問題行動などもなかったことと、障害があると認めることに抵抗があったため、指摘を受け入れることができませんでした。
小学校も普通学級で入学させたものの、勉強には全くついていくことができず、担任からは度々支援学級を勧められたそうですが、「やったらできるはず」と考え、無理やり普通学級へ通わせ続けたそうです。
中学へ上がる際も支援学級を勧められましたが、拒否して無理やり通わせました。
ところが本人はつらい思いをされていたようで、当時は登校したふりをして一日中公園ですごしていたことが度々あったと、後になってわかりました。
高校は、筆記試験の無い学校へ進んだそうです。
卒業後は就職されましたが、いくら説明されても業務内容を理解できず、簡単な作業も覚えることができなかったため、すぐに退職させられました。
一般就労は困難と周りに判断され、その後は親族が経営する会社へで働かせてもらっていたそうです。
数年後に、結婚して家庭に入られました。
すぐに子供もできたのですが、結婚について理解ができていなかったためか、好きな人ができたのでその人と結婚すると言い残して失踪し、見つかったときには妊娠していたそうです。
現在はその時のお相手と再婚され、家庭に入られていまいたが、人を疑うことをしらないため、訪問販売などで度々数百万円もする商品を買わされているとのことでした。
その都度母親から注意されるのですが、理解できていないためか、同じことを繰り返してしまいます。
掃除や洗濯などの家事もほとんど一人では行えず、ご主人も同様の傾向がある方なため、お母様が常に身の回りのことをサポートされていました。
幸い双極性感情障害や統合失調症などの二次障害はない様子でしたが、理解力が極めて低く、社会に適応できているとは言い難い状況でしたので、軽度知的障害だけで障害等級2級に該当する可能性が高いと判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
原則として、障害年金は初診日から1年6か月経過しなければ申請することができません。
この方は、発達相談所で検査を受けたことはあるものの、医師の診療は受けたことがありませんでしたので、通常はこれから初診日を発生させ、そこから1年半待たなければなりません。
しかし知的障害があると認められる場合は、特例として生まれた日を初診日として扱うこととされていますので、診断書を書いてもらうことができればすぐにでも申請することが可能でした。
そこで、ご自宅の近くて通いやすい精神科クリニックをご紹介し、ヒアリングに基づいた参考資料をこちらで作成して、それをお持ちいただいた上で受診していただきました。
その後はしばらく通院してもらったところ、医師にご理解いただくことができ、問題の無い内容で診断書をお書きいただくことができました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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