双極性感情障害で障害年金請求を自分で進めようとしたが途中で諦めていたケース
相談時の状況
双極性感情障害を患っておられる50代の女性からご相談いただきました。
5年以上前に障害年金手続を行おうと何度も年金事務所へ足を運ばれおり、診断書も医師に作成してもらったそうです。
申請しようと再び年金事務所へ行かれたのですが、どこかに不備があったらしく、受け取ってもらえませんでした。
「なぜだめなのか?」「どうすればよいのか?」ということについて、おそらく窓口で説明されたと思うのですが、ご本人は理解することができず、そのまま諦めてしまわれました。
社労士による見解
この方は15年以上前から精神科へ通院しておられましたが、症状は殆ど改善されていないようでした。
気分の浮き沈みが激しく、幻覚・幻聴・妄想の症状も出現している様子でしたので、統合失調感情障害に近い状態でした。
障害状態は間違いなく障害等級2級以上に該当するはずでしたが、ご本人が数年前に取得された診断書を拝見すると、初診日に問題がみつかりました。
ご本人は最初に受診された精神科が初診だと認識しておられたのですが、病歴について書かれた部分を見ると、その前に内科を受診されているようでした。
障害年金制度における初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」と定義されています。
つまり、「関係があると思われる症状について初めて診療を受けた日」ということになりますので、精神疾患で申請する場合でも、精神科に初めてかかった日が初診日とは限りません。
この方は、診断書に書かれた内科の初診を証明できるかどうかがポイントでした。
受任してから申請までに行ったこと
最初に掛かられた内科に確認したところ、初診時のカルテは既に破棄されていました。
しかし詳しく調べてもらったところ、初診の8年後にもしばらく通院された時期があり、その時のカルテに初診時のことが詳しく書かれていましたので、その情報に基づいて受診状況等証明書(初診証明)をお書きいただくよう依頼しました。
すると、「初診時のカルテは既に無い」と明記されたものの、8年後のカルテに詳細が記録されていたことや、その時の状況についてもお書きいただくことができました。
ご本人が数年前に取得された診断書は、ちょうど障害認定日時点のことが書かれていましたので、現在は使用されていない古い様式でしたが、そのまま提出することにしました。
現在の障害状態について、現主治医に診断書をお書きいただく際は、障害年金制度について正しく理解してもらえるよう参考資料を作成し、受診時にお渡しいただいたところ、問題の無い診断書をお書きいただくことができました。
結果
無事初診日証明が認められ、障害認定日時点は3級、現時点は2級で障害厚生年金を受給することができました。
障害年金制度は非常に複雑です。
ご本人やご家族が進めようとしても、なかなかうまくいかないことがよくありますので、まず初めに専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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