不支給から申請しなおして障害認定日時点で障害等級1級に認められたケース
相談時の状況
京都府のリハビリテーション支援センターから紹介があり、ご本人のお母様と面談しました。
数か月前にお母様が手続きされのたのですが、「障害等級に該当するほどではない」との理由で不支給になってしまったそうです。
お母様はそういうものかと一旦は諦めておられたのですが、ご本人の障害状態を知っている周りの人達からそれはおかしいと指摘され、もう一度チャレンジするために府の支援センターへ相談されました。
社労士による見解
この方は中学生の時に校舎の3階から転落し、脳挫傷による高次脳機能障害となったそうです。
20歳になられた時点で市役所職員のアドバイスに従い申請されたのですが、不支給となりました。
前回提出された書類を拝見すると、診断書は病名が「脳損傷による記憶障害」となっており、IQが低下していることや、てんかんを発症していること、バリント症候群による視野障害があることなども文章としては書かれていましたが、障害程度としては概ね3級程度になっており、2級以上で無ければ支給されない障害基礎年金としては不支給とされてしまって当然の内容になっていました。
またお母様が書かれた病歴就労状況等申立書も、事故から現在までの経緯は詳しくまとめられているものの、障害状態やそれによる日常生活への影響などは詳しく触れられておらず、生活の困難さがあまりイメージできない内容になっておりました。
診断書に書かれていたてんかんについて状況を伺うと、意識を喪失して倒れてしまうほどの発作が年に数回でており、てんかんだけで障害等級2級に該当することがわかりました。
バリント症候群による視野障害も、取得されていた障害者手帳を拝見すると両眼の視野は10度以内で、損失率も95%以上と書かれていましたので、こちらも障害等級2級に該当することがわかりました。
障害年金制度では2級相当の障害が2つ以上あると、合わせて1級になります。
この方は当然に障害等級1級と認められるべき状態なのに、やり方のまずさから不支給になっていたのです。
しかも通常は一度障害状態が軽いとして不支給になると、再び障害認定日まで遡って請求することはできないのですが、前回の診断書からてんかんや視野障害は審査対象として主張していませんでしたので、遡りも可能と判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
まずてんかんについては、前回と同じ神経内科の主治医に診断書をお願いすることになったのですが、前回の診断書を見る限りではポイントがずれており、実際の障害状態が伝わらない内容になっていましたので、障害認定基準を正しく理解してもらうための資料を作成し、てんかんに焦点を絞った内容で作成していただきました。
視野障害については神経内科の主治医から院内の眼科を紹介してもらい、そちらで眼の障害用の診断書を別で作成してもらいました。
病歴就労状況等申立書については、てんかんについてのものと視野障害についてのものをそれぞれ作成しました。
結果
無事、障害基礎年金1級に認められました。
障害年金制度は、非常に複雑です。
障害等級の審査も、審査機関が本人の状態を直接確認してくれるわけではありませんので、診断書や病歴就労状況等申立書のポイントがずれていれば、正しく障害状態を認識してもらうことができません。
正しい審査を受けるためには、障害年金制度はもちろんのこと、医学的な知識も持ち合わせたうえで手続きを進める必要があります。
これは十分な経験がなければできないことですので、実績を積んだ専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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