脳梗塞による肢体障害とてんかんで障害基礎年金1級に認められたケース
相談時の状況
ご本人からメールでご相談いただき、後日事務所へお越しいただいて面談を行いました。
社労士による見解
この方は1歳の時に脳梗塞を起こし、左腕が麻痺しておられました。
12歳の時には授業中に突然気を失い痙攣し出したため、直ぐに救急搬送されました。
後日検査を受けたところてんかんと診断され、投薬治療を開始しました。
しばらくは薬によっててんかん発作は押さえられていましたが、大学生になった頃から年に何度も意識を消失して倒れるようになったため、就職を諦めて大学卒業後は自宅で療養しておられました。
実際に左腕の状態を拝見したところ、殆ど使用することができない状態でしたので、脳梗塞による一上肢の障害として2級に該当すると判断しました。
てんかんも、意識を消失して卒倒するほどの発作が年に3回程度起こっていましたので、こちらも2級に該当すると判断しました。
この方は他にも、気管支喘息・子宮内膜症・卵巣腫瘍・子宮腺筋腫なども患っておられましたが、左上肢の障害とてんかんだけで1級に該当すると判断し、2つの障害だけで申請することにしました。
受任してから申請までに行ったこと
左上肢の障害は脳梗塞の後遺症であることは明らかでしたので、1歳の時が初診であると判断しました。
てんかんも発作が確認されたのは12歳の時でしたが、状況から考えて脳梗塞が原因である可能性が高かったため、初診日は脳梗塞による左上肢障害と同じであると判断しました。
初診日は約30年前でしたので、通常はカルテも破棄されている可能性が非常に高くなります。
この方は途中何度か通院を中断されたことがありましたが、10代後半に受診していた病院に現在は通院しておられ、そこには当時のカルテが残っていることはわかっていました。
本来初診日は、一番最初に受診した日をカルテに基づいて証明しなければなりません。
これができなければ、障害年金を受給できなくなる可能性が極めて高くなります。
しかし20歳前障害は、20歳からしか障害年金を申請できない関係上、20歳までにどこかの医療機関を受診していたということが証明できれば大丈夫ですので、問題ありませんでした。
医師に作成してもらう診断書は、肢体障害用と精神障害用を使用することにしました。
診断書の様式は、全部で8種類あります。
「この病気はこの様式」と決められているわけでは無く、障害の箇所によって使い分ける必要があります。
適切な様式を選んで医師に作成してもらわなければ、障害状態を正しく審査してもらうことができません。
年金事務所へ相談すると窓口担当者が様式についてアドバイスしてくれますが、適切でない様式を渡されてしまうことも珍しくありませんのでご注意ください。
てんかんの診断書をお書きいただく際は、書き方や注意点について正しくご理解いただけるよう、参考資料を作成して医師へお渡しいただきました。
実はてんかんで障害年金を申請する場合は、診断書の書き方に注意が必要です。日常生活能力に関する項目の書き方を間違うと、発作のタイプや頻度が認定基準を満たしていても、簡単に不支給とされてしまうのです。
病歴就労状況等申立書は、肢体障害に関する内容とてんかんに関する内容を別々に作成しました。
結果
無事、障害基礎年金1級に決まりました。
診断書の様式は8種類あり、この病気はこの様式を使用しなければならないというような決まりが、必ずしもあるわけではありません。
病名で決めるのではなく、どこにどのような症状がでているのかで判断しなければなりません。いくら重い障害があるかたでも、適切な様式を選ばなければ、正しく審査してもらうことができません。
年金事務所の相談窓口や主治医の判断が正しいとは限りませんので、まずは専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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