他の社労士に無理だと言われていたが双極性感情障害で障害基礎年金2級に認められたケース
相談時の状況
いつもお世話になっている精神科病院の相談員の方より、約20年前から双極性感情障害を患っておられる、50代の女性をご紹介いただきました。
当初はご自身で手続きを進めようとしておられたのですが、初診日証明で行き詰まり、昔から低価格を売りにされている社労士へ相談されたところ、手間が掛かると判断されたためか断られてしまったそうです。
社労士による見解
相談員の方にお話を伺うと、当初は他の障害年金を専門とする社労士に相談しながら進めておられたのですが、約20年前に受診された精神科を初診と考えて初診証明(受診状況等証明書)を作成してもらったところ、病名は「摂食障害」とされており、しかも以前から内科でバーター症候群の診断名で治療を受けておられたことが発覚しました。
その社労士は初診時の傷病名が「摂食障害」とされていたことで、申請は難しいと判断されたようです。
確かに摂食障害は、障害年金の対象外とされてしまう病名です。
しかし初診時の病名は何であれ、現在は躁うつ病の診断名で治療を受けておられましたので、審査上は特に影響は無いと判断しました。
しかし、以前から内科でバーター症候群と診断され、治療を受けれおられたことは問題でした。
この方は20代の頃からスタイルを気にして激しいダイエットを繰り返すようになり、意識を失って救急搬送されることもあったようです。
バーター症候群とは、低カリウム血症や代謝性アルカローシスを伴う先天性の腎臓病なのですが、この方の今までの状況を考えると、おそらくは過激なダイエットに起因する偽性バーター症候群の可能性が高く、そうなると摂食障害の診断も受けておられたため、初診日がどんどん遡ってしまう危険がありました。
初診日は、カルテなどの客観的証拠に基づいて証明できなければ、障害年金を受給することができません。
今までに、「どこの医療機関へ」「どのような症状を訴えて」「いつ頃からいつ頃まで通院していたのか」ということをご本人に質問したのですが、精神疾患の影響もあってか今までの経緯を全く覚えておられず、確認のしようがない状況でした。
受任してから申請までに行ったこと
相談員の方にお願いし、ご本人のお姉様をご紹介頂きました。
そのお姉様にお願いし、ご本人が今までに受診された可能性のある医療機関の書き出しをお願いしたところ、何と20以上もの医療機関が候補に挙がってきました。
流石にすべて確認していくことは困難だったため、その中でも可能性が高い医療機関をお教えいただいたところ、5つの総合病院に絞り込むことができました。
この5つの総合病院は、よくお世話になっている相談員さんがいらっしゃるところばかりでしたので、直ぐにそれぞれの病院の相談員さんへ事情を説明し、当時のカルテの記載内容を確認してもらいました。
確認した病院は全て実際に受診しておられ、カルテも保存されていることがわかったのですが、内容から通院歴を繋ぎ合わせて行ってみると、最終的に初診は平成4年まで遡ってしまい、しかもそれ以前から様々な医療機関を受診されていたとされる記載がカルテに見つかったため、それ以上遡って調べることは断念しました。
そこで考え方を変えて、摂食障害による偽性バーター症候群で通院されていた内科ではなく、初めて精神科へ掛かられた時点が初診と認められる可能性を検討することにしました。
この方がダイエットを始められたきっかけは、単にスタイルを気にしてのことでした。
ところがどんどんエスカレートするようになり、意識を消失して救急搬送されることもあったようです。
この時点で抑うつなどの症状はなく、就労もできていました。
その後結婚されましたが、過激なダイエットの影響なのか何年たっても妊娠することができず、ストレスが蓄積してうつ症状が出現するようになりました。
また若い頃のダイエットとは明らかに異なり、盗食嘔吐・過活動・虚偽の言動などの精神異常まで見られるようになったため、以前から通院していた精神科へ医療保護入院となりました。
ここまでの経緯を現在の主治医はご存じありませんでしたので、治療にも役立ててもらおうと参考資料にまとめ、相談員の方を通じて医師へお渡しいただきました。
その後こういった経緯についてはお姉様にもご確認いただけ、診断書作成時には状況を細かくお書きいただくことができました。
結果
内科ではなく、精神科を初めて受診された日が初診と認められ、無事障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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