主治医から無理だと言われたが双極性感情障害で障害厚生年金2級となり遡りも認められたケース
相談時の状況
ご本人からお電話いただき、後日無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
この方は当時東京で働いておられたのですが、仕事のストレスで約7年前から偏頭痛や不眠の症状が出現するようになりました。精神科へ通院するようになったのですが、しばらくすると気分に波が現れるようになったそうです。情緒不安定となって仕事中に涙が止まらなくなったり、怒りの感情を押さえることができなくなって気を失ったりすることもあったようです。うつ症状が強いときは出勤することもできなくなり、何度も休職を繰り返して最終的に仕事を辞められました。
ご主人の転勤に伴って2年前に京都へ越してこられたのですが、京都で通うようになったクリニックの医師に、双極性感情障害Ⅱ型と診断されたそうです。
面談に来られた際は軽躁状態でしたので元気そうに見えましたが、多弁傾向があり易怒性も強いようでした。うつに入ると何もできなくなり、一歩も外に出られない状態になるとのことでしたので、障害等級2級に該当する可能性が高いと判断しました。しかし主治医に障害年金の相談をされたところ、「診断書を書いても良いが、通らないよ」とはっきり言われたそうです。
受任してから申請までに行ったこと
障害状態の審査において、医師の診断書は非常に重要です。特に精神疾患は他の傷病よりも、診断書を作成する医師が否定的であれば、あまり良い結果になりません。
障害等級の審査は、診断書や病歴就労状況等申立書に書かれた情報だけを見て行われます。審査機関が直接本人の状態を確認してくれるわけではありません。肢体障害や内科系の疾患であれば計測値や検査数値からある程度客観的に判断してもらうことができますが、精神疾患の診断書は殆ど全ての項目が医師の主観によって書かれますので、同じ病気や同じ障害程度でも、作成する医師によって大きな差が出ます。特に医師が協力的で無かったり、障害年金の受給に否定的であれば、高い確率で審査に通る内容の診断書は出来上がってきません。
障害年金制度を正しく理解しておられる医師は稀ですので、単に自信の無さから否定的に見える態度を取られる場合もあります。その場合は診断書の正しい書き方を説明し、ご理解いただければ問題ありません。
相談者に主治医のことについていろいろ質問してみたところ、障害年金の診断書に限らず、書類作成全般が苦手なようでした。今までも不支給になってしまったことがあるのではないでしょうか。先生に書き方を正しくご理解いただけるよう詳細な参考資料を作成してお渡しいただいたところ、問題ない内容の診断書をお書きいただけました。
また障害認定日時点は東京のクリニックに通院しておられ、診断名もその時はうつ病だったのですが、重いうつ状態について実態に則した診断書をお書きいただけました。しかし障害認定日時点は生活のために無理して就労しておられましたので、出勤できていたことから障害状態を軽く見られてしまう可能性がありました。
そこで病歴就労状況等申立書を作成する際は、障害認定日時点は殆どまともに就労できていなかった状況について具体的なエピソードを交えながら書き込みました。
結果
無事障害認定日時点で障害厚生年金2級となり、5年分の遡りも認められました。
前述のように、障害年金の手続きは様々なことに注意しながら進めていかなければなりません。何に注意が必要で、その都度どういう対応をとるべきなのかは、ある程度経験を積まなければ判断できません。まずは、経験豊富な専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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