双極性感情障害で障害基礎年金1級に認められたケース
相談時の状況
ご本人のご主人からお電話いただき、後日ご夫婦で無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
この方は10年以上前から、うつ病として通院治療を続けておられました。相談時点で通院しておられた精神科には8年前から通っておられたのですが症状は一向に改善していないようでした。
うつ病と診断されているとのことでしたが、表情や話しぶりに違和感を覚えました。そこで普段の様子や症状等について細かくお話を伺ってみると、次のようなことが分かりました。
・発症当時から気持ちに浮き沈みがある。
・調子が良いときは気持ちが軽くなり、誰かとバカ騒ぎがしたくなる。
・気持ちが大きくなり、収入もないのに車や時計などの高価なものをローンで衝動買いしてしまう。
・気分が落ち込んでいくときは情緒不安定となり、イライラして夫に八つ当たりをしてしまう。
・うつ状態になると過眠傾向となり、一日中寝ている。
上記のことから双極性感情障害の可能性が高いと感じたのですが、主治医はうつ病と診断しておられました。受診時の状況について伺うと、以前からその医師はあまり話を聞いてくれないと感じておられ、日頃の様子や症状について詳しく話をしたことは無いようでした。
受任してから申請までに行ったこと
ご本人からのヒアリングを元に日常生活の状況等も詳細にまとめた資料を作成し、受診時に医師へお渡しいただきました。しかし出来上がってきた診断書を拝見すると、実態とはかけ離れた内容になっており、障害等級には該当しないことが明らかでした。
この方はうつ状態が酷いときは家からでられないため受診できず、比較的気分が上向いているときにばかり診察を受けておられたため、その印象に基づいて診断書を書かれてしまったようです。残念ながら、参考資料も見ていただけませんでした。
病状を理解してもらえていないことが分かり、ご本人も転医を希望されましたので、しっかり話を聞いてもらえる信頼できるクリニックをお教えしたところ、直ぐにそちらへ移られました。またこの方の今までの経緯や症状について、新たな医師にご理解いただけやすくするためにこちらで資料を作成し、初診時にお渡しいただきました。
しばらく通院していただくと、やはり双極性感情障害であったことが分かり、診断書をお書きいただけました。
結果
無事、障害基礎年金1級に認められました。
精神疾患は、医者が替わるたびに診断名も変わってしまうことが珍しくありません。特にうつ病と診断されていた方が、実は双極性感情障害であったというケースをよく見かけます。
私見ですが、特にⅡ型の方は自身の躁状態について自覚が無く、うつ症状の辛さばかりを医師に訴えておられる場合が多いように思います。それでもしっかりと診察していただける医師であれば問題ないのですが、残念ながら患者の話を殆ど聞こうとしない医師も中にはいらっしゃいます。そういう医師に当たってしまうと、症状もなかなか改善しませんし、障害年金の診断書も実態とかけ離れた内容で書かれてしまいます。
まずは、経験豊富な専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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