器質性統合失調症様障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№172)
相談時の状況
10代の頃から幻聴や幻覚の症状に悩まされ、統合失調症と診断されてきた20代の女性患者について、精神科の医師からご紹介いただきました。
社労士による見解
この方は中学2年生の頃から学校でいじめられるようになり、次第に自分を悪く言うような幻聴が聞こえるようになってそうです。
ブツブツ独り言を言う娘を見て母親が異常を感じ、自宅近くの精神科を受診させたところ、統合失調症と診断されました。
薬を飲むと症状は落ち着くのですが、気分の浮き沈みが激しくなり、不登校となりました。
その後高校に進学したものの、入学して直ぐに教室で錯乱状態となり、半年ほど保健室登校しましたが、諦めて通信制高校に転入しました。
卒業後は短大へ進みましたが、直ぐに通学できなくなって退学し、自宅へ引き籠るようになったそうです。
統合失調症の診断を受け、精神科クリニックへ継続して通院し投薬治療を受けていましたが、症状は酷くなる一方でした。
希死念慮が高まり、頻繁に自殺未遂を繰り返すようになったため、大きな精神病院へ入院することとなり、そこで現在の主治医に出会いました。
医師は統合失調症の薬を処方しても改善しないため不信に思っていたところ、入院中にてんかん発作が確認され、これをきっかけにてんかんが原因である器質性統合失調症様障害と診断されました。
退院後もその医師に診てもらうようになり、症状は改善に向かっていましたが、それでもなお日常生活に大きな支障がでていたため、少なくとも障害等級2級に該当する可能性が高いと判断しました。
またご紹介いただいた医師は、統合失調症と診断されていた20歳時点まで遡って障害状態の審査を受けることは難しいと考えておられましたが、病名は違っても現在と症状や状況に変わりはなかったため、認められる可能性は高いと考えました。
受任してから申請までに行ったこと
まずは、障害認定日時点の診断書作成依頼から始めました。
そのクリニックの最終受診は6年も前でしたので、現在の状況も把握してもらったうえで診断書をご作成いただいた方が良いと考え、こちらで作成した参考資料をお持ちいただいた上でもう一度受診していただいたところ、「統合失調症」として快くお書きいただけました。
その診断書のコピーを現主治医にお渡しし、現時点の診断書を「器質性統合失調症様障害」としてお書きいただきました。
結果
無事、20歳時点まで遡って障害基礎年金2級に認められました。
今回は、「統合失調症」も「器質性統合失調症様障害」も障害年金の対象となる傷病名ですし、症状も同じでしたので問題なかったのですが、実は精神障害には、障害年金の対象外とされている傷病名がいくつもあります。
それは、「神経症」と「人格障害」です。
パニック障害・強迫性障害などの神経症や、境界性人格障害・統合失調症質性人格障害などの人格障害だけで申請しても、まず通りません。
しかし精神の傷病名は、診る医師によってコロコロ変わることが良くあります。
遡りの時点は神経症や人格障害の診断を受けていた場合でも、診断書に精神病の病態を示す記載内容があれば、認められる可能性がありますので、専門家へ一度ご相談ください。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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