双極性障害Ⅱ型で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6470)
相談時の状況
Ⅱ型の双極性感情障害の診断を受けておられる、30代の女性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は母子家庭だったのですが、高校1年生の時にお母様が入院することになり、その頃から不安感や抑うつ症状が出現するようになったそうです。
1か月ほどで退院されたのですが、その後も症状は改善せず、希死念慮まで出現し、自傷行為も始まりました。
高校卒業後は美容系の専門学校へ進んだものの周りに馴染めず、退学したいと感じながらもなんとか卒業されました。
接客業に就職しましたが、同僚との人間関係や客からのクレームにストレスが蓄積し、うつ症状が悪化したため近くの精神科クリニックを受診したものの、医師と合わないと感じて通院はしませんでした。
その後は、短期間で仕事に就いたり辞めたりを繰り返すようになりました。
当時は自覚してなかったそうですが、改めて聞いてみると、就労意欲が高まって就職し、「なんでもやります!」という感じで必要以上に働いていたそうです。
数か月もすると疲弊し、徐々に休みがちとなり、起き上がることもできなくなって退職するが、また数か月もすると元気になって必要以上に活動してしまう、という感じで繰り返しておられました。
やはり精神科へ通う必要性を感じて、別の精神科へ通院するようになったところ、しばらくしてⅡ型の双極性障害と診断されました。
定期的に通院して投薬治療を受けていましたが、数年経っても症状に改善は見られませんでした。
あるとき希死念慮が高まった際に、貯めていた睡眠導入剤を過量服薬してしまったそうです。
そのことを主治医から怒られ受診するのが怖くなり、通院を止めてしまいました。
しかし投薬治療を中断したためか、感情の起伏が抑えられなくなり、家族だけでなく他人に対してもイライラして攻撃したり、収入もないのに突然数十万円もする買い物をしたりするようになりました。
通院を止めて約半年後に、太ももを包丁で刺す自傷行為があったため、家族に連れられて大学病院の精神科へ通院するようになりました。
大学病院の医師とも合わず、その後も何度か転医を繰り返し、今のクリニックも数か月前から通院し始めたばかりでした。
うつ状態では過眠の傾向が強く、誰ともコミュニケーションを取らずに一日中家で横になっているそうです。
たまに躁状態になってもそれほど気分が高揚するわけではありませんが、就労意欲が高まって仕事に就きます。
しかしイライラして攻撃的となり、職場では同僚や上司とケンカをしたり、家では夫や子供に暴言を吐いたりしてしまいます。
お金遣いも荒くなり、借金してまで浪費を繰り返すため、過去に自己破産もしていました。
障害状態を正しく診断書にお書きいただければ、2級に該当するはずの障害状態だと感じました。
受任してから申請までに行ったこと
Ⅱ型の双極性障害は、診断書を軽く書かれてしまうことがよくあるのですが、その主な原因は症状にあります。
従来型のうつ病であれば、基本的に常にうつ状態ですので、障害状態も伝わりやすいです。
しかし双極性障害、特にⅡ型のかたは、うつ状態が酷いと動けなくなり、受診も出来なくなるかたが多いです。
必然的に、比較的気分がましなときに受診することが多くなります。
医師は比較的元気な状態しか認識できませんので、悪気なく障害状態を軽く書かれてしまうのです。
ご本人も、うつ状態の苦しさばかりを受診時に伝えてしまい、双極性障害だと気づいてもらえず、軽いうつ病だと診断されているかたもよく見かけます。
医師に障害状態を正しく把握していただく必要がありますので、今までの経緯や日常生活の状況などについて詳しく資料にまとめ、受診時にお渡しいただいたところ、実態に即した内容でお書きいただけました。
結果
無事、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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