統合失調症で社会的治癒が認められ5年遡って障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6027)
相談時の状況
精神病院の相談員さんから、統合失調症で入院されている40代の男性をご紹介いただきました。
社労士による見解
この方は大学生の頃に被害妄想の症状が出現し、幻聴も聞こえるようになったためご両親が近くの精神科クリニックへ連れていかれたそうです。
すぐに精神病院を紹介され、そちらへ入院しました。
1か月ほどで退院し、その後は通院治療を続けていましたが、徐々に状態が改善し、1年程で寛解して終了しました。
その後大学を卒業しましたが就職はせず、家業の手伝いをその後約10年間していたそうです。
父親が亡くなり家の商売は廃業になりましたが、なかなか転職はできませんでした。
一度アルバイトをしてみましたが、半年しか続きませんでした。
妄想や幻聴などの症状が再燃し、別の精神科クリニックへ通院するようになりましたが、症状は良くならず、悪化して外で暴れたり、不審者として警察に連れていかれたこともあったそうです。
警察署内で暴れた際に、精神病院へ連れていかれ措置入院となりました。
退院後はそのままその精神病院へ通院するようになり、投薬治療の効果で状態はだいぶん安定するようになりました。
現在は、何とかB型作業所へ通所できるほど改善しておられました。
まず、初診のクリニックは約10年前に閉院されていましたので、そこで初診証明を取ることは不可能な状況でしたが、クリニックの紹介状を持って精神病院へ入院されていましたので、おそらく持っていかれた紹介状で初診日を証明することは可能でした。
原則通りの初診日は学生の頃に受診したクリニックでしたが、そうすると障害認定日の時点ではどこにも受診しておらず、遡及請求は不可能でした。
しかし寛解後は約10年程普通に社会生活を営んでおられましたので、社会的治癒を主張し、再発時点を初診日と認めてもらえる可能性があると判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
まずは、最初に入院された精神病院へ受診状況等証明書を依頼しました。
内容を見ると、終診日は再発時の13年前になっていましたが、「その後通院せず」と書かれているだけで、寛解に至ったことは触れられていませんでした。
そのため、社会的治癒を認めてもらいやすくするため、病歴就労状況等申立書には、寛解から再発までの経緯や、社会的治癒を主張する旨も明記しておきました。
結果
無事に社会定期治癒が認められ、再発から1年6月経過した時点まで遡って障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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