解離性障害と言われていたが双極性障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6729)
相談時の状況
障害者地域生活支援センターの相談員さんから、40代の女性利用者さんについてご相談いただきました。
この女性は数年前に障害年金を申請したものの、不支給となっておられました。
社労士による見解
以前申請された際の書類を拝見したところ、傷病名が「解離性障害」で書かれていました。
障害年金は様々な病気や障害が対象になりますが、実は精神障害は対象外とされている病名が多数存在します。
それは、パニック障害や適応障害などの「神経症」と、境界性パーソナリティー障害などの「パーソナリティー障害(人格障害)」に分類される病名です。
解離性障害は神経症の一種ですので、どれほど日常生活や就労に影響がでていても、原則として対象外と判断されます。
しかし精神疾患の病名は、診る医師によって変わることが珍しくありません。
例えば同じ症状でも、ある医師は「適応障害」と診断していたが、別の医師に掛かると「境界性人格障害」と言われ、また別の医師に掛かると「Ⅱ型双極性感情障害」と診断された、なんていうこともあります。
これらは症状が似ていると言われていますが、このなかで障害年金の対象になるのは「Ⅱ型双極性感情障害」だけです。
また、「強迫性障害」「不安障害」「摂食障害」などの診断を受けていたが、発達障害が得意な医師に診てもらうと、そもそも生まれながらにADHDがあり、その特性から二次障害として神経症を発症していた、というパターンもよくあります。
さらにいうと、神経症の傷病名しか付けられない場合でも、「精神病の病態を示している」と認められる場合は、障害年金の対象となるのです。
この方の場合は、日ごろの様子や症状について詳しく伺ってみたところ、Ⅱ型の双極性障害であるように感じました。
受任してから申請までに行ったこと
解離性障害で診断書を書いてもらった医師に現在も掛かっておられましたので、次の受診時にご本人から、前回なぜ審査に通らなかったのかを伝えてもらい、改めて病名を確認してもらったところ、解離性障害だけでなく双極性障害の診断もしておられることがわかりました。
そこで、この方の現在までの経過や日常生活の状況などと合わせて、障害認定基準なども説明する参考資料を作成し受診時に医師へお渡しいただいたところ、実態に即した問題のない内容でお書きいただけました。
病歴就労状況等申立書を作成する際は、双極性障害の影響でいかに日常生活に支障がでているかを詳細に記載しました。
結果
無事、障害基礎年金2級に認められました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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