20歳前からの統合失調感情障害で障害基礎年金2級に認められ遡及も行われたケース
相談時の状況
通院されている病院は障害年金の受給に積極的なところで、主治医から障害年金の申請を勧められたそうです。その病院のソーシャルワーカーから障害年金についての詳しい説明を受けられたのですが、複雑すぎて理解できず、不安になって当センターへご相談いただきました。
社労士による見解
詳しくお話を伺うと、この方は子供の頃から人付き合いが苦手だったそうです。高校に上がった頃から人に嫌われていると思い込むようになり、誰とも顔を合わせることができなくなって、学校ではいつも廊下で壁に顔をくっつけるようにして立っていたとのことでした。
そのうち周りの全員から注目されていると思い込むようになり、家から一歩も出られなくなって高校2年生から引き籠るようになったそうです。
幻聴や幻覚もあり、死ぬことばかり考えるようになっていたため、両親が心配して地元の大きな精神病院へ連れていったところ、そのまま入院となりました。
退院後は徐々に落ち着くようになり、高校は退学されましたが、その後大検を受験されました。
介護の専門学校へ進学したものの殆ど出席できず、1年目は留年でした。
1年遅れて卒業し、老人介護施設へ就職されました。非常にアットホームな職場で、同僚には後に奥さんとなる方もいらっしゃったため、安定して働けていたようです。
ところが腰痛が原因で退職し、ケアマネージャーとして転職されたところ、今まで心の支えだった奥さんと一緒に働けなくなったことで症状がぶり返してしまいました。
現在も被害妄想・幻聴・幻覚の症状が続いており、気分の上がり下がりも激しい様子で、とても就労できる状態ではありませんでした。
受任してから申請までに行ったこと
障害年金を障害認定日時点まで遡って請求する場合は、その当時の診断書の提出しなければなりません。この方は途中で15年以上も別の医療機関へ通院しておられましたが、障害認定日である20歳の時点と現時点は同じ病院に通っておられました。
この場合は、障害認定日時点と現時点の診断書を同じ医療機関で作成してもらうことになります。障害認定日時点の医師は既におられませんでしたが、現在の主治医に当時のカルテを元にしてお書きいただくことになるので、内容の整合性は心配いりませんでした。
発症から現在までの状況などについてご本人からヒアリングし、まとめたものを参考資料として作成依頼時に医師へお渡しいただきました。病歴就労状況等申立書も、発症から既に約30年経過していましたのでかなりのボリュームになりましたが、当センターで詳細な内容を作成しました。
結果
無事障害基礎年金2級に認められ、5年分の遡及も行われました。
精神疾患用の診断書は殆どが医師の主観でお書きいただく項目ですので、審査に通る内容になるかどうかは、医師が協力的かどうかに左右されます。診断書の作成は非常に時間が掛かる作業ですので、依頼すると露骨に嫌な顔をされる先生や、中にはわざと通らない病名や内容で書かれる場合も実際にあります。
また診断書を問題ない内容で書いてもらえても、病歴就労状況等申立書の内容がまずければ、それで不支給にされてしまうこともあります。
精神疾患は障害認定基準自体が非常に曖昧ですので、まずは経験豊富な専門家へご相談いただき、アドバイスを受けられることをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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