統合失調症で障害厚生年金1級に認められたケース
相談時の状況
ご本人の友人からお電話いただき、後日無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
友人から話を伺ったところ、この方は以前会社を経営していたのですが10年前に倒産し、その後はタクシー会社に運転手として就職されました。しかし直ぐに無断欠勤を続けるようになり、心配して同僚が様子を見に行ったところ、明らかにおかしな言動があったため、直ぐに精神科を受診させられたそうです。
始めは意欲低下などの陰性症状が強かったのですが、次第に妄想や幻聴などの症状が強くなっていき、近隣住人とのトラブルを頻繁に起こすようになりました。
一応通院して投薬治療を受けておられたのですが、ある時近所の子供がアパートの前でロケット花火を使ったところ、『誰かに狙われている』という被害妄想が増大し、不安から一歩も外に出られなくなって通院も止めてしまったそうです。
生活保護を受給しておられたのですが、いつ打ち切られてしまうかわからないという不安から症状が悪化する一方だったため、少しでも心が落ち着けるようにと、面倒を見ていた友人が障害年金を勧められたそうです。
入院どころか数年間も通院すらされていませんでしたが、間違いなく障害等級に該当する状態だと判断しました。しかしご本人はその友人以外誰も信用せず、以前に治療してくれていた医師すら敵と見なしていたようですので、まずは病院に行ってもらえるかどうかが問題でした。
受任してから申請までに行ったこと
ご本人と直接会話することは不可能と判断し、全てご友人を通じて指示を伝えてもらうことにしました。
障害年金請求を行うためには、絶対に診断書を医師に作成してもらわなければなりません。以前通院していた病院を再度受診してもらうことは難しかったため、自宅近くで人当たりが良く、事情も汲んでいただける医師のクリニックを紹介しました。
受診してもらったところ、やはり大きな病院で入院する必要があると言われたのですが、本人は病識が薄く、自宅から離れることを極端に嫌がったため、何とか通院治療をしていただけることになりました。事情を説明し、診断書も直ぐに書いていただけました。
結果
無事、障害厚生年金1級に認められました。
当センターには統合失調症の方からもよくご連絡いただきます。
ご本人から相談があるときは、幻聴や妄想などの陽性症状が治まりつつある場合が大半です。陽性症状が強く出ているときはご本人に病識が無く、定期的な通院もされていないことが多いです。
意欲低下などの陰性症状も同時に出ている場合は、そちらの症状を訴えて通院されていることもあるのですが、陽性症状がでていることを医師に伝えられていないため、うつ病と診断されてるケースが目立ちます。
こういう場合、医師に診断書をお願いしても障害状態を軽く書かれてしまうことが多く、申請しても障害状態を正しく審査してもらえません。幻覚・幻聴・妄想などの症状が出ていることについても、しっかりと医師に伝えなければ気づいてもらえないのです。
不本意な結果に終わらないようするためにも、まずは経験豊富な専門家へご相談いただくことをお勧めします
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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