10代の頃からの統合失調症で障害基礎年金2級に認められたケース
相談時の状況
お父様より病歴就労状況等申立書の書き方についてお問い合わせいただき、後日ご本人と無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
お父様から詳しくお話を伺ったところ、高校生の頃から少し異常がみられるようになったようです。大学に上られたころから被害妄想が強くなり、周りの人から悪口を言われているような幻聴も聞こえるようになったそうです。実在しないストーカーの影におびえたり、自宅内でも盗聴を気にしてしゃべらなくなったりしたため、両親が精神科を無理やり受診させたとのことでした。
その後継続して投薬治療を受けておられたのですが症状に改善が見られず、何度か転医しておられました。
障害認定日(初診日から1年6か月経過した日)時点も現時点も、妄想や幻聴の症状が強く出ておられましたので、障害等級2級に該当すると判断しました。
しかし当事務所へご相談いただく前からお父様が積極的に手続きを進めておられ、受診状況等証明書(初診の証明)や障害認定日時点の診断書を既に取得しておられました。
受診状況等証明書の内容は問題なかったのですが、障害認定日時点の診断書は実態よりも症状を軽く書かれており、そのままでは障害等級3級にも満たない内容でした。
お父様が書かれた病歴就労状況等申立書の下書きも拝見したところ、まるで初診日が遡ってしまいかねないような紛らわしい文章が書かれており、非常にまずい内容でした。
また病状や日常生活上の困難さなどについては殆ど触れられていませんでしたので、この内容で申請すると障害等級の判断にも悪影響を与えかねないと感じました。
受任してから申請までに行ったこと
障害認定日時点の診断書の内容があまりに実態と乖離していたため、実際の状況についてお父様と一緒にご説明しようとしたのですが、残念ながら一切取り合っていただけませんでした。
現在の主治医への診断書作成依頼はまだしておられませんでしたので、こちらはしっかりとした参考資料を作成し、お父様から医師へお渡しいただいたところ、実態に則した内容でお書きいただけました。
病歴就労状況等申立書も、こちらで一から作り直しました。
結果
現時点の等級は無事障害基礎年金2級に認められましたが、障害認定日時点は不支給となりました。
障害年金の等級審査において、障害状態は診断書や病歴就労状況等申立書の内容だけで判断されてしまいます。実際の状態を、認定医が直接診てくれるわけではありません。
精神疾患は障害等級の基準も曖昧ですので、診断書や病歴就労状況等申立書のちょっとした表現に結果が左右されてしまうことも良くあります。
ところが大半の医師は、障害年金制度について正しい知識を持っておられません。そのため診断書の内容に、悪気なく間違った表現をされたり、障害状態を軽く見られてしまうような書き方をされてしまうことが良くあります。
問題点を後から指摘して聞き入れてもらえる場合は良いのですが、プライドの高い医師ほど自分のミスなどを指摘されることを嫌がります。一度作成してもらった後で、正しい内容に書き直してもらうのは困難なのです。
初めから正い内容の診断書を作成してもらえるように進めることが非常に重要ですので、後戻りできなくなる前に専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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