大動脈弁閉鎖不全症で障害厚生年金3級に認められたケース
相談時の状況
奥様よりお電話でご相談いただき、後日ご本人と無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
この方は心臓疾患だけでなく、昔から腎臓疾患も患っておられました。
奥様の希望は、心疾患と腎疾患の両方で認定を受けて、2級の障害年金を受けられるようにしたいというものでした。
まず腎疾患について伺うと、子供の頃から通院しておられましたので、障害基礎年金(国民年金)の対象でした。
次に心疾患について伺うと、発症したのは5年前で、初診の時点で厚生年金に加入しておられましたので、障害厚生年金の対象でした。
障害基礎年金と障害厚生年金はそれぞれ違う制度ですので、それぞれで認定を受けても等級を統合してもらうことはできません。二つの障害を合わせて2級にする、ということはできないのです。障基と障厚の両方が認定された場合は、どちらかを選択することになります。
持参してもらった腎臓の検査数値を拝見したところ、3級相当の障害状態でした。
障害基礎年金は2級からしか貰えませんので、3級相当だと不支給です。
心臓は、初診から数年たってから人工弁に置換しておられました。人工弁は、原則として障害等級3級です。心臓は初診日時点で厚生年金でしたので、障害厚生年金の3級を受給することができます。
以上の内容を口頭で説明し、心臓疾患だけが障害年金を貰える可能性があるとお伝えしたところ、奥様が自分で手続きを進めることを希望されましたので、進め方を詳しくご説明してお帰り頂きました。
受任してから申請までに行ったこと
面談から約1年経過した頃に、再度奥様からお電話を頂きました。
あの後年金事務所へ通って手続きを進めておられたのですが、途中で訳がわからなくなり、改めて当センターへサポートを依頼してこられました。
入手されていた診断書を拝見したところ既に有効期限が過ぎており、また内容も何か所か問題がありましたので、再度医師に診断書を作成していただきました。
その後病歴就労状況等申立書などもこちらで作成し、再度ご相談をいただてから約1か月で申請しました。
結果
無事障害厚生年金3級に認められました。
心臓疾患は、人工弁・ペースメーカー・ICDなどを装着しておられる場合は原則3級と認定されます。初診日の証明が問題ない場合は、比較的申請も難しくありません。そのため私どものような障害年金を専門で扱う社労士が手続きを行う場合は、スムーズに進めることができます。
しかし一般の方に取っては初めての経験ですので、残念ながら説明を受けても良くわからない場合が多いでしょう。年金事務所の窓口担当者の指示に従って進めていくと、最低でも5回程度は窓口に足を運ぶことになります。
取得してきた診断書などに問題がある場合はその都度やり直しとなりますので、1年以上経過しても申請まで辿り着かないケースもよくあります。
ご病気を患った本人が手続きを進める場合は、途中で体力が続かなくなり、諦めてしまうことも珍しくありません。障害認定日までの遡りを求めて申請を行う場合でなければ、原則として申請した翌月分からしか障害年金の支給対象となりません。申請するのが遅れれば遅れるほど、その分の年金を損してしまいます。
スムーズに申請を行うためにはある程度の経験が必要ですので、初めから専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
-
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
「相談して良かった」「やるべきことが明確になった」と、相談後には気持ちが前向きに、軽くなれる様、耳を傾け、アドバイスすることを心掛けております。まずはお気軽に相談ください。
- 6月 4, 2020精神の障害不支給からの再チャレンジでカルテの提出を求められたケース(事例№5083)
- 6月 2, 2020肢体の障害進行性核上性麻痺で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5216)
- 5月 26, 2020内臓系の障害初診が20年前の慢性呼吸不全で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№345)
- 5月 18, 2020精神の障害幼少期の脳腫瘍が原因で高次脳機能障害となったケース(事例№5120)
関連記事
クイックタグから関連記事を探す
「心臓の障害」の記事一覧
- マルファン症候群からの慢性心不全で障害厚生年金3級に認められ5年遡及も出来たケース(事例№6560)
- ブルガダ症候群で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№6792)
- 大動脈弁閉鎖不全症で障害厚生年金3級に障害認定日まで遡って認められたケース(事例№6737)
- 心臓疾患で子供の頃から通院していたが障害厚生年金1級に認められたケース(事例№6695)
- 大動脈弁狭窄症で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№6388)
- フルタイム勤務しながら大動脈弁閉鎖不全症で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№5278)
- 大動脈解離で手術日まで遡りが認められたケース(事例№5149)
- 解離性大動脈瘤による人工血管置換で手術日まで遡って障害厚生年金3級に認められたケース(事例№542)
- ヌーナン症候群による心臓肥大で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№407)
- 口腔がんによるそしゃく嚥下障害とペースメーカーを合わせて障害基礎年金2級に認められたケース(事例№263)
- カルテは無かったが特発性肺動脈性肺高血圧症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№189)
- 大動脈弁閉鎖不全症で障害厚生年金3級を5年遡及ケース(事例№29)
- 完全房室ブロックで障害厚生年金3級に認められ遡りも行われたケース
- 大動脈弁狭窄症で障害厚生年金3級に認められたケース
- 慢性血栓塞栓性肺高血圧症で障害基礎年金2級に認められ5年遡及も認められたケース
- 僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症で障害厚生年金3級に認められたケース
- 心室細動で障害厚生年金3級に認められたケース
- 狭心症で障害厚生年金2級を受給できたケース
- 洞不全症候群で障害厚生年金3級に認められた事例
- 急性大動脈解離で障害厚生年金3級に認められたケース
- 心房中隔欠損で障害厚生年金3級に認められたケース
- 【ICDで障害厚生年金3級】働きながら5年分の遡及も認められたケース
- 大動脈解離で障害厚生年金3級の3年遡及が認められたケース
- ペースメーカー装着で障害厚生年金3級を受給できたケース