窓口で初診日を証明できないかもと言われていたが障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5867)
相談時の状況
統合失調症を患っておられる40代女性からご相談いただきました。
ご自身で手続きしようと区役所の国民年金課に通っておられたのですが、窓口で「初診日を証明できないかも」と言われたそうです。
不安になり、主治医に相談されたところ、主治医から当センターへ相談したほうが良いと紹介されたとのことでした。
社労士による見解
詳しくお話を伺ってみると、この方は約25年前に、職場で受けたストレスが原因で被害妄想が出現し、精神科を受診して診断書を書いてもらい、それを理由に会社を辞めようと考えたそうです。
大学病院(A病院)の精神科を受診し、退職を促す診断書を書いてもらおうとしましたが、医師からは、「会社は辞めないほうが良い」「しっかり休みなさい」と諭されて終わりました。
そこで、すぐに別の精神病院(B病院)を受診し、自律神経失調症の診断を受け、診断書を提出して退職したそうです。
しかし辞めてからどんどん症状が悪化していき、「元同僚に殺される」という強い妄想から、一歩も外に出られない状態になっていったそうです。
家族が心配して、近くの精神科クリニックを受診させたところ、統合失調症の診断を受けました。
投薬治療が始まりましたが、副作用で太ってしまい、本人は病識も薄かったため、数か月で勝手に通院を止めてしまいました。
その後はますます悪化していき、家の中が盗聴されていると思い込んで、家出をして当てもなく東京へ行ってしまったそうです。
家族から捜索願が出され、警察に保護されて東京の病院へ入院となりました。
1か月後には地元のB病院へ転院となり、数年通院した後で、現在のクリニックへ転医されました。
ご自身で年金事務所へ通い、指示を受けながら進めていたそうですが、A病院の精神科へ確認されたところ、カルテは存在しないと言われてしまったそうです。
受任してから申請までに行ったこと
A病院は、精神科以外の科は20年でカルテを破棄するのですが、精神科は原則として破棄しないことを以前から知っていましたので、おかしいと感じました。
そこでこちらからA病院の精神科病棟へ確認したところ、そもそもこの方は精神科を受診しておらず、総合内科を受診されていたことがわかりました。
総合内科のカルテは20年以上経過していたので破棄されていましたが、数年前から審査上で、精神科(心療内科)以外の受診は精神障害の初診と判断されない傾向にありましたので、B病院を初診として進めることにしました。
B病院を初めて受診したのも相当昔でしたが、確認したところカルテは破棄されておらず、問題なく初診証明(受診状況等証明書)を書いてもらえました。
結果
無事初診日が認められ、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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