大動脈弁狭窄症で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№6388)
相談時の状況
大動脈弁閉鎖不全症で人工弁に置換しておられる、50代の女性からご相談いただきました。
ご自身で手続きしようと年金事務所へ行かれたり、ネットで情報収集されていたのですが、内容が難しいと感じて相談を希望されました。
社労士による見解
この方は40代前半ごろに会社の健康診断で指摘を受け、総合病院の循環器内科を受診されたところ、大動脈弁閉鎖不全症と診断されました。
しかし自覚症状は無く、その時点では日常生活に何も支障がなかったため、その後は受診されませんでした。
5年前の健康診断でも指摘を受けましたが、放置していたそうです。
ところがその約1年後から階段を上る際に息切れや動悸を自覚するようになったため、再び受診されました。
その後は定期的に通院していましたが、昨年から症状が悪化したため、人工弁置換手術を受けることになりました。
人工弁に置換されている場合は、原則として障害等級3級に該当します。
障害厚生年金であれば3級から支給対象となりますが、障害基礎年金であれば2級からしかもらえないので対象外です。
この方は会社の健康診断を受けて最初に受診されたところが初診日で、その時点で厚生年金に加入されていましたので障害厚生年金の対象でした。
長年厚生年金に加入されていましたので、保険料納付要件も問題ありません。
初診日要件・保険料納付要件に問題がなく、障害状態も3級が確定していましたので、しっかり対応すれば問題なく受給できる状況でしたので、やり方を詳しく説明し、ご自身で手続きすることをお勧めしてみました。
しかしこの方はお仕事をされていましたので、平日は時間に制限がありました。
また障害年金制度は、私たち専門家にとっては簡単でも、一般の方にはややこしい部分が多々ありますので、年金事務所や病院へ何度も出向いてやり取りをしなければならない可能性が十分にありました。
この方は障害認定日(初診日から1年6か月経過した日)の時点では重い障害状態にありませんでしたので、そこまでの遡りを求める申請方法ではなく、現時点の障害状態についてのみ審査を受ける「事後重症」というやり方しかできませんでした。
事後重症請求だと、「申請した月の翌月分」からしか支給対象になりませんので、申請が1か月遅れれば1か月分が、3か月遅れれば3か月分の年金が消えてしまいます。
苦労して、時間をかけて自分で手続きした挙句にもらえる年金が減ってしまうようなことは避けたいとのことでしたので、サポートすることになりました。
受任してから申請までに行ったこと
まずは初診の総合病院へ連絡し、その日のうちに受診状況等証明書(初診証明)の作成を依頼しました。
2週間ほどで書いてもらうことができ、内容も問題ありませんでした。
次に診断書を正しくお書きいただくための参考資料を作成し、取得した受診状況等証明書のコピーと合わせてご本人へお送りし、受診時に医師へお渡しいただいたところ、約1か月で問題のない内容の診断書をお書きいただけました。
その後は病歴就労状況等申立書をこちらで作成して年金事務所へ提出し、ご相談から2カ月弱で手続きを完了させました。
結果
無事、障害厚生年金3級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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