初診時点に学生で任意加入していなかったため統合失調症で特別障害給付金を受給したケース(事例№6327)
相談時の状況
精神病院の相談員さんから、長年統合失調症を患っておられる50代の男性患者をご紹介いただきました。
社労士による見解
詳しくお話を伺うと、この方のお兄様も昔から統合失調症を患っておられました。
この方は問題なく過ごしてこられましたが、大学2回生の夏頃から幻聴の症状が出現するようになり、父に連れられて精神科を受診したところ、
統合失調症と診断されました。
それから約30年、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら過ごしてこられたのですが、現在も陽性症状が治まっておらず、仕事もできない状態でした。
保険料納付要件に不安があったため、まずは委任状をお書きいただき年金事務所で年金記録を調べたところ、この方は初診日時点で国民年金に任意加入されていなかったことがわかりました。
現在は20歳になると国民年金へ強制加入となるのですが、昔は学生は任意加入の対象でしたので、加入していない方が多くおられました。
障害年金は、初診日時点で年金制度に加入していなければ、残念ながら受給する権利がありません。
この方は、どう頑張っても障害年金を受給することができないのです。
しかし、こういった方が大勢いらっしゃるため、救済処置として平成17年4月1日から、「特別障害給付金制度」が創設されました。
初診日が、昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの間にあり、その当時学生で国民年金任意加入対象だった方が対象です。
障害年金に比べると金額はかなり少なくなりますが、障害基礎年金2級以上に該当する障害状態と認められれば受給できます。
残念ながら遡及請求はできず、障害年金と同じように初診日も証明する必要がありますが、2級だと月4万円強、1級だと月5万円強が支給されます。
ご本人と相談員さんに説明し、特別障害給付金の手続きを進めていくことにしました。
受任してから申請までに行ったこと
診断書を医師に依頼してもらう際は、この方が障害年金を受給できないことや、特別障害給付金について理解してもらうための参考資料を作成し、相談員さんからお渡しいただきました。
結果
無事、特別障害給付金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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