クローン病で障害厚生年金2級に認められ遡及も行われたケース
相談時の状況
ご本人よりお電話でご相談いただき、後日面談にお越しいただきました。
社労士による見解
この方は数年前より肛門からの出血と疼痛が出現するようになり、近くの肛門科を受診されました。
抗生物質を処方されたのですが全く効果が無く、38度を越える高熱も出るようになったため、他院の肛門科を受診されましたが異常なしと診断されました。
異常なしとの診断に納得がいかなかったため大きな総合病院を紹介してもらい、そこに1年半通院してようやくクローン病と診断されたそうです。
障害認定日(初診日から1年半経過した日)から現在に至るまで症状に改善が見られず、常に肛門痛があるため座ることができません。腹痛と高熱も続ており、食事もうどんなどの消化の良い物しか食べられません。頭痛・貧血・倦怠感も常にあり、勤めていた会社も既に退職しておられましたので、障害等級2級に該当する可能性があると判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
障害状態を審査してもらう上で、医師に作成してもらう診断書は非常に重要です。診断書の様式は全部で8種類あり、障害の箇所や特徴によって選択する必要があります。
クローン病の場合は、『その他の障害』という様式を使用するのですが、この様式は注意が必要です。
肢体障害や内科系の疾患であれば障害状態を客観的に判断するための項目が多数設けられているのですが、その他の障害となると、数値などの明確な認定基準が存在しません。
『自覚症状』や『他覚所見』の欄へ具体的な症状を文章で医師に書いてもらわなければならず、この項目の内容が薄ければ、障害状態を正しく審査してもらうことができないのです。医師によっては何を書けばよいのかわからないため、この項目が白紙のままで戻ってくる場合もあります。
そうなると正しく障害状態を審査してもらうことは難しくなりますので、正しい書き方について医師へお伝えしました。
結果
無事、障害厚生年金2級に認められ、約2年分の遡及も行われました。
難病は対象となる患者数が他の疾患と比べて少なく、認定基準が明確になっていない場合が殆どです。また審査を行う医師も専門医で無いことが多いため、診断書や病歴就労状況等申立書の内容によっては正しく障害状態を認識してもらえず、不本意な結果に終わってしまうケースがあります。
審査上のポイントを理解したうえで書類作成を行う必要がありますので、まずは専門家へご相談いただくことを強くお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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