多発性嚢胞腎から腎不全となり腹膜透析されているケース(事例№5151)
相談時の状況
2年前から腹膜透析を受けておられる、50代男性からご相談いただきました。
社労士による見解
約15年前から、尿の出にくさを自覚するようになったそうです。
たまたまご兄弟が大学病院の泌尿器科医と仕事で付き合いがあり、紹介されて受診したところ、遺伝性の多発性嚢胞腎と診断されたそうです。
数回受診して投薬治療を受けましたが、「塩分を控えるくらいしか対処のしようがない」と医師に言われたため、通院をやめてしまいました。
すると初診から約10年後に血尿があり、慌てて近医を受診したところ、嚢胞に血がたまっていて命の危険があるといわれたそうです。
すぐに最初の大学病院へ入院し、術後は定期通院するようになりましたが、腎不全が深刻な状態となり、2年前から24時間の腹膜透析を受けておられました。
血液透析だけではなく、腹膜透析でも障害年金は2級に認められますので、障害状態は障害厚生年金2級が確実でした
。
。
しかし、障害年金はそれだけで受給できるわけではありません。
まずは、初診日を明確な証拠に基づいて証明する必要があります。
まずは、初診日を明確な証拠に基づいて証明する必要があります。
人工透析について障害年金請求を行う場合、初診から十年以上たってから申請するケースが多いです。
原因となった傷病の初診からそれだけ長い時間が経過していると、初診時点のカルテがすでに破棄されていることも多く、初診日を客観的証拠に基づいて証明することができずに障害年金を受給できないことがよくあります。
この方が最初に受診した大学病院は、少なくとも30年はカルテを保管していることを経験上知っていましたので、問題ありませんでした。
受任してから申請までに行ったこと
原則として、初診時の医療機関で受診状況等証明書を作成してもらう必要がありますが、この方は初診の大学病院に現在もかかられていましたので、診断書だけで初診も証明することができました。
正しい内容でお書きいただくための参考資料を作成し、受診時に医師へお渡しいただきました。
結果
無事、障害厚生年金2級に決まりました。
人工透析を受けておられる場合は、就労中でも、収入がいくらあっても、障害状態を軽くみられることはありません。
しかし、初診から長期間経過して腎不全となり、人工透析にいたるケースが大半ですので、初診日を証明できないケースが多々ありますし、診断書や病歴就労状況等申立書の書き方に気を付けなければ、もっと前に初診日があるのではないかと疑われることもありますので注意が必要です。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
-
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
「相談して良かった」「やるべきことが明確になった」と、相談後には気持ちが前向きに、軽くなれる様、耳を傾け、アドバイスすることを心掛けております。まずはお気軽に相談ください。
- 6月 4, 2020精神の障害不支給からの再チャレンジでカルテの提出を求められたケース(事例№5083)
- 6月 2, 2020肢体の障害進行性核上性麻痺で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5216)
- 5月 26, 2020内臓系の障害初診が20年前の慢性呼吸不全で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№345)
- 5月 18, 2020精神の障害幼少期の脳腫瘍が原因で高次脳機能障害となったケース(事例№5120)
関連記事
クイックタグから関連記事を探す
「腎臓の障害」の記事一覧
- 人工透析による障害年金で生命保険会社の資料を使い初診日を証明できたケース(事例№6118)
- 人工透析による障害年金で会社保管の健康診断個人票を使い初診日証明できたケース(事例№5897)
- 人工透析はしていないが腎不全で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5974)
- 健康保険組合に残されたデータで初診日を証明できたケース(事例№5739)
- 糖尿病の初診日を健診結果や紹介状から証明し障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5448)
- 初診のカルテは無いといわれていたが腎不全で障害厚生年金2級を受給できたケース(事例№5268)
- 初診は約30年前だったがカルテは無くても人工透析で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5201)
- 約30年前の初診時カルテが破棄されていたケース(事例№5103)
- 先天性近位尿細管性アシドーシスで障害厚生年金2級に認められたケース(事例№5074)
- 僅かな記録を辿ることで初診日を証明しIga腎症で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№5185)
- タイムリミットギリギリで申請し腎不全で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№520)
- 糖尿病性腎症の初診日を2つの証拠を合わせて証明し障害厚生年金2級に認められたケース(事例№295)
- 高血圧が原因の腎不全で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№1629)
- 腎不全で障害年金を申請しようとしたが病院に初診証明を断られていたケース(事例№1607)
- 初診日を証明できずに諦めかけたが腎不全で障害基礎年金2級に認められたケース
- 人工透析をしてなくても慢性腎不全で障害基礎年金2級に認められたケース
- ネフローゼ症候群で障害年金請求したが昭和53年の発病日を証明できず不支給とされていたケース
- Ⅱ型糖尿病性腎症で障害厚生年金2級に認められたケース
- 腎不全の障害年金で初診日を不当に判断されそうになったケース
- 初診のカルテは破棄されていたが糖尿病性腎不全で障害厚生年金2級を受給できたケース
- 全身性エリテマトーデスによる腎不全で障害厚生年金2級に認められたケース
- 子供の頃からの腎臓疾患で障害基礎年金2級に認められたケース
- 尿管結石を初診として腎不全で障害基礎年金2級に認められたケース
- 糖尿病性の慢性腎不全で障害厚生年金2級に認められたケース
- 高血圧性の慢性腎不全で障害厚生年金2級を受給できたケース
- 糖尿病性の慢性腎不全で障害基礎年金2級を受給できたケース
- IgA腎症で障害厚生年金2級に認められたケース