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完全房室ブロックで障害厚生年金3級に認められ遡りも行われたケース

相談時の状況

ご本人からお電話をいただき、後日面談にお越しいただきました。

 

社労士による見解

この方は約2年前に階段も登れないほどの強い倦怠感が出現し、掛かりつけの内科を受診したところ、徐脈性不整脈と診断されました。何度か受診して様子を見ていましたが症状は改善されなかったため、総合病院の循環器内科を紹介されました。受診したところ完全房室ブロックが認められ、ペースメーカー移植手術が必要と言われたそうです。

 その1か月後に永久ペースメーカー植込み手術を受け、現在も6か月に1度の通院を続けておられました。この方は術後の経過が良好で、問題なく職場復帰もされていました。

日常生活も大きな影響は無かったのですが、ペースメーカーを植え込んでおられる方はそれだけで障害年金の3級に該当しますので、問題なく受給できると判断しました。

 

受任してから申請までに行ったこと

ご本人が初診と認識しておられた内科クリニックで受診状況等証明書(初診日証明)を作成してもらったところ、2か月前に職場の健康診断で拡張気圧の高さを指摘されたことや、数年前から高血圧で投薬治療を受けていたことについても記載されていました。

 障害年金制度における初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日」とされています。障害の原因となった傷病とは、「相当因果関係があると認められる傷病」であることも書かれています。

 高血圧は元々の心臓疾患と「因果関係」はありますがが、高血圧は万病の元ですので、原則としてどのような病気や障害で障害年金を申請する場合でも、「相当因果関係がある」とまでは判断されません。今回も一見すると関係がありそうな書き方になっていましたが、関係ないものとして扱って問題ないと判断しました。

 次は診断書です。

本来障害年金を申請できるのは、初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)からです。しかし例外として、ペースメーカーなどの人工臓器を設置した場合は、設置した日から申請することが可能です。

 また障害認定日より1年以上経過してから申請する場合は、障害認定日時点と現時点の、2枚の診断書が通常は必要です。この方も本来は、手術を行った時点の診断書と現時点の診断書が必要なのですが、人工臓器増設や手足の切断のようにその時点で症状固定と見なしてもらえる場合は、診断書は2枚も必要ありません。

 現在通院中の病院に、ペースメーカーの植込み日をしっかり記載していただくよう念を押したうえで、現時点の診断書だけを作成してもらいました。最後に病歴就労状況等申立書をこちらで作成し、申請しました。

 

結果

無事障害厚生年金3級となり、遡りも認められました。

 上記の内容でお分かりいただけるかと思いますが、障害年金制度は非常に複雑です。制度自体にも例外事項が山ほどありますし、医学的な判断も必要です。正しい判断をしながら進めていかなければ無駄に時間が掛かりますし、原則通りに進めると無駄な作業も発生する場合があります。

 遡りを求めない申請方法(事後重症請求)の場合は特に、申請の翌月分からしか支給対象になりませんので、準備が遅れた月数分だけ年金がもらえなくなります。スムーズに手続きを行うためにも、専門家へご相談いただくことをお勧めします。

社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

舩田 光朗
舩田 光朗社会保険労務士
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