脳腫瘍が原因で発症したてんかんにより障害厚生年金2級に認められたケース
相談時の状況
京都府のリハビリテーション支援センターからの紹介で、後日ご本人に事務所へお越しいただいて面談しました。
社労士による見解
この方は約6年前に健康診断で肺癌が見つかり、直ぐに手術を受けておられました。その後は経過観察だけを続けておられたのですが、3年後の実家帰省中に気分が悪くなり、近医を受診されたところ、脳に転移していることがわかりました。
直ぐに腫瘍を取り除く手術を受けられたのですが、高次脳機能障害が残ってしまいました。
しかし状態を拝見したところ、軽い記憶障害と認知障害は認められましたが日常生活に大きな支障がでるほどではなく、障害等級に該当しないことが明らかでしたので、その旨を正直にお伝えしてお帰りいただきました。
ところがその約半年後に、てんかんも発症して治療を開始しているとのご連絡をいただきました。面談の数週間後に意識を失い転倒して緊急搬送され、てんかんと診断されたそうです。
投薬治療を開始されたのですが、つい数日前にも発作が出て救急搬送されたとのことでした。
治療を受けていてもなお発作が出現するほどのてんかんは、障害年金の支給対象となります。
意識を失って転倒するほどの発作が年2回以上ある場合は、障害等級2級に該当する可能性がありましたので、申請してみる価値はあると判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
障害年金は原則として、初診日から1年6か月以上経過していなければ請求することができません。
この方は初めててんかん発作が出現してから半年ほどしかたっていませんでしたが、脳腫瘍に原因があることは明らかでしたので、そこを初診日と考えれば1年6か月以上経過しておりました。
脳腫瘍に限らず、脳梗塞や脳内出血の後でてんかん発作が出現するようになった場合も、その時点が初診日と見なされる可能性が非常に高いです。
しかしこの方はそれ以前に肺癌を発症しており、それが脳に転移していましたので、肺癌が初診と判断される可能性もありました。
どちらが初診日と判断されても納付要件やカルテに基づいた証明に問題はありませんでしたが、より年金額が高くなる脳腫瘍が発覚した時点を初診として主張することにし、そちらへ受診状況等証明書の作成を依頼しました。
診断書の依頼する際は、まず初めにてんかんで診断書を作成する場合の問題点や注意点を、こと細かく医師へ説明しました。
実はてんかんで障害年金を申請する場合は、診断書の書き方に注意が必要です。日常生活能力に関する項目の書き方を間違うと、発作のタイプや頻度が認定基準を満たしていても、簡単に不支給とされてしまうのです。
病歴就労状況等申立書を作成する際は、日常生活の状況を細かく記載するだけでなく、脳腫瘍が見つかった時点が初診日であると客観的に判断してもらえるよう、詳細に状況を記載しました。
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結果
無事、障害厚生年金2級に認められました。
障害年金制度は、非常に複雑です。今回のように初診日がわかりにくかったり、診断書の書き方一つで障害状態を誤解されてしまう病気で請求する場合は、細心の注意を払いながら進めていく必要があります。
間違った結果を招かないよう、経験豊富な専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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